<東都大学野球:青学大9-3東洋大>◇第2週最終日◇13日◇神宮

 青学大が東洋大を下し、通算2勝1敗で今季初勝ち点を挙げた。1回に井上貴晴外野手(4年=報徳学園)が右翼席中段の最上部まで届く特大2ラン本塁打。1回戦で9回2死まで4安打無得点に封じ込まれた左腕、能間隆彰投手(3年=桐蔭学園)を打ち崩し、チームを勢いづける価値ある1発だった。

 右翼席に伸び続ける打球を見送ると、井上は高々と右手を上げた。「甘かったので思い切り振り切った。ちょっとタイミングを外されたけど粘れた。チームとして同じ投手に2度もやられるわけにはいかない」と声を弾ませた。カウント3ボール1ストライク。普段は直球狙いで変化球に対応するが、変化球が約9割を占める能間が相手。「直球が来たらごめんなさいと勇気を持って」狙い球をスライダーに絞っていた。

 河原井正雄監督(58)の能間攻略法が当たった。1回戦で「左打者の凡打、ファウルが左方向に多い」と察知。左投手に対する左打者は左翼方向へ打ち返すのがセオリーだが「左でも(スライダーが)横滑りするタイプじゃない」と内角に落ちる球に引っ張りを指示。4番が指示を実践し「あれで吹っ切れたのが勝因」と話した。

 特大弾で勢いづいたチームは全員の17安打。井上は「夏に練習をやってきたかいがあった」と主将らしく語った。【斎藤直樹】

 ◆井上貴晴(いのうえ・たかはる)1991年(平3)2月5日、神戸市生まれ。小4で野球を始めるが小学校時代は柔道が優先で茶帯を保有。中学時代は兵庫神戸ボーイズ所属。報徳学園では3年夏の甲子園で大会通算1200号本塁打。青学大では2年春に2部でリーグ最多タイの4本塁打。1部通算3本塁打。180センチ、85キロ。右投げ左打ち。家族は両親と姉。