<東都大学野球>◇第7週初日◇17日◇神宮◇1回戦

 亜大が3季連続20度目の優勝を決めた。8戦全勝の亜大は試合がなかったが、2位駒大が中大に敗れたため、同勝率となりうるチームがなくなった。主将でエース東浜巨投手(4年=沖縄尚学)が、投手3冠に輝いた春から進化。プロ入りを視野に入れた練習で球威を増し、初の3戦連続2ケタ奪三振をマークするなど、4戦4勝と秋もチームをけん引した。

 東浜は神宮のスタンドで優勝決定を見届けた。「後輩に1部のバトンをつなげて、その上で優勝できてよかった。自分ができる最低限はできた。一安心だが、まだ先がある」。4戦4勝で投手陣をけん引。生田勉監督(46)は「やはり野球は投手と実感した。失点が計算できれば勝負になる」と3連覇の要因に挙げた。

 8戦全勝と順調に見えた今季も、内実は波瀾(はらん)万丈だった。開幕直前のオープン戦。東浜が2試合連続でKOされた。さらに打球が右足甲に当たり、足をひきずるほどの打撲を負った。めったに痛みをあらわにしない大黒柱の姿に、チームの雰囲気はどん底に沈んだ。翌日、生田監督が4年生全員をしゃぶしゃぶ店に連れ出し「監督生活で初めて」頭を下げた。「何とか頼む」。東浜は「いつも厳しい監督が…」と武者震いした。

 東浜の突貫工事が始まった。「シーズン前は結果が残せず不安があった。でもエースで主将はしっかりしないといけない」。夏場は球威増を目指し、直径約1メートルの跳躍器具2台に片足ずつを乗せ、投球練習を行っていた。体重移動のリズム感は身についたが、テンポが安定し過ぎたと分析。今度はセットポジションからワインドアップに変更。ゆとりを持ったフォームで直球の球速を140キロ台中盤まで戻し、秋の奪三振率は10・50と、春の5・80から跳ね上がった。

 優勝で明治神宮大会出場権を獲得した。「春に(大学選手権決勝で)負けて、思いは強くなった」。持ち味の投球術に球威も得た右腕が、高校に続き、大学でも日本一を目指す。【斎藤直樹】