<北海道6大学野球:函館大3-1旭川大>◇第1節最終日◇28日◇苫小牧緑ケ丘

 函館大が昨年春の覇者、旭川大を下した。2年生右腕の山内武(たける)投手(福島・学法福島)が9回1失点、8安打を許したが、11三振を奪い初完投勝利を挙げた。「1点で抑えられて良かった。いつもの3倍くらい疲れました」と振り返る130球の力投で、チームを開幕2連勝に導いた。

 苦楽のあった高校時代を経て、野球に打ち込んでいる。3年に進級する前の11年3月に東日本大震災に遭った。最後の夏に向かう中、練習場所がなくなった。原発事故による放射能の影響で外出が制限。グラウンドでの練習ができない日々が続いたが「室内練習場でできたので大丈夫でしたよ」と苦労は見せない。厳しい環境を経験してきた山内に、阪内俊喜監督(57)は「頑張り屋」とたたえる。

 怪物との対決を制したことが勲章だ。日本ハムの大谷翔平投手(18)に勝った経験がある。高2の秋、44年ぶりに出場した東北大会の初戦で花巻東と対戦。1回途中からリリーフした山内は1年生で4番だった大谷を封じ、ベスト16入りした。「あの時から(大谷は)注目されていた。今振り返ると、勝ったことは自信になってますね」と、ちょっぴり誇らしげだ。

 阪内監督は「次のエースを目指してほしい」と期待を込める。山内も「どうしても神宮に行きたい。チームのために頑張る」と、春の神宮を目標にしている。【保坂果那】

 ◆山内武(やまうち・たける)1993年(平5)7月6日、神奈川県横浜市生まれ。横浜潮田小1年の時向井町イーグルスで野球を始める。潮田中1年からは横浜金沢シニアに所属。学法福島高2年秋に、東北大会に出場。函館大では1年春からベンチ入り。家族は両親と弟。右投げ右打ち。175センチ、75キロ。