<仙台6大学野球:仙台大3-2東北学院大>◇第5節第3日◇13日◇東北福祉大野球場

 優勝の行方を左右するAクラス対決は、リーグ史上初の濃霧による7回コールドで決まった。1勝1敗同士の勝ち点争奪戦は、仙台大が3-2で東北学院大との3戦勝負を制し、首位タイの勝ち点3とした。中1日で先発した立花完(4年=茨城・土浦日大)が6安打2失点(自責1)の7回完投でリーグ通算8勝目。先発唯一の1年生、松本桃太郎(北海道・北海)も決勝三塁打で貢献した。

 仙台大が“大荒れ”の勝ち点争奪戦を制し、悲願の春初優勝に望みをつないだ。抗議中断1回(13分間)と濃霧中断2回(計73分間)を含む3時間25分の激戦。1点リードの7回裏は、2死三塁から28分間の中断後に窮地をしのぎ、コールド勝ちを成立させた。だが、得点ボードも見えなくなる濃霧の中で、試合打ち切りを要請し続けた森本吉謙監督(39)は「お互いに後味が悪い」。“心の霧”は最後まで晴れなかった。

 個性的な名前の2人が投打で活躍した。立花は、その名のとおりの「完」投勝ちで、同カード初戦に続く今季3勝目を挙げた。ツーシームやスプリットなど微妙に動く変化球を有効に使い、「霧で見えにくいのでゴロを打たせるようにした」と頭脳的投球を見せた。生まれたときに、当時2歳だった姉有里さん(25)が「かん」と呼んだことから名づけられたという。立花は「完投にも結びつくので気に入っています」と胸を張った。

 打っては松本が1-1の5回表1死二塁から右翼越え三塁打で大学初の決勝打をマーク、さらに相手エースの暴投で決勝点になるホームを踏んだ。童話「桃太郎」にちなみ、両親から「いい仲間がたくさんできるように」と命名された松本は「名前負けしないようにしたい」と飛躍を誓った。

 チーム最終カードになる今週末は東北福祉大と対戦する。自力優勝の道は閉ざされているが、森本監督は「1試合1試合をやりきるだけ」と、連勝して最終節の結果を待つ構えだ。【佐々木雄高】