<全日本大学選手権:富士大2-0京都学園大>◇12日◇1回戦◇東京ドーム

 富士大(北東北)が京都学園大(京滋)を下し、2回戦に駒を進めた。

 空調の効いた東京ドームで、富士大・吉田将太投手(2年=北海道・鵡川)は滝のような汗を流していた。公式戦初先発、しかも全国デビュー戦で完封勝利。エース多和田真三郎(2年=沖縄・中部商)を差し置いて初戦のマウンドを任されたが「試合に入ったら緊張はしなかった」。火照った顔に、笑みが広がった。

 186センチの大型右腕。「勝手に動くのも、自分で動かしているのもある」というカットボールで打たせて取る。直球が自然とスライド回転することに悩んでいたが「それを使おう」と今春から勝負球にした。全113球の大半を占めた武器で、5安打7三振と完璧な内容だった。

 4月、右人さし指と中指の血行障害を発症。庄司凌マネジャーが「氷水に触れている感じ」と驚いたほどで、つぶれたマメが壊死(えし)し、今も痛々しい痕が残る。この日の4回にも「感覚が悪くなった」。今春はその影響でリーグ戦の登板がなく、八戸学院大との優勝決定戦で6回1失点と好投して復活。青木久典監督(40)は「しっかり投げてくれた」とたたえた。

 5回まで無安打だった打線も意地を見せた。6回2死二、三塁。今秋ドラフト候補の山川穂高内野手(4年=中部商)が遊撃へ適時内野安打を放った。小学生以来という、執念のヘッドスライディングで先制点をもぎとり「吉田が頑張っていたので」。大黒柱の先輩、はい上がってきた後輩が結果を出せば、勝利はついてくる。【今井恵太】