プロ入りの夢はあきらめない!

 札幌出身の左腕、ホンダ・桜田裕太郎(26)が勝負の秋を迎える。八戸大時代から注目されていたが、左肩の故障などもあり、不本意なシーズンを過ごしてきた。今季は故障も癒え、3月の東京大会ではMVPを獲得。社会人4年目で復活の兆しを見せている。14日、札幌ドームで行われたJABA北海道大会のNTT西日本戦で先発。4回1/3で7安打3失点だったが、ドラフト指名へアピールを続けていく。

 道産子左腕がこの秋にプロ入りを懸ける。14日、故郷・札幌でマウンドに立った。最速141キロも4回1/3で7安打3失点。チームは11回タイブレークの末、4-6で敗れた。

 「悪くはなかったけど、まとまり過ぎていた」と納得の投球ではなかった。それでも出場権を確保している日本選手権など、アピールする機会は残されている。「まずはチームで結果を残したい。日本一になって、チャンスがあればプロに行けたら」と、躍進を誓った。

 ドラフト候補として注目されたが、ケガに悩まされ続けてきた。甲子園を目指して進学した横浜高時代、左膝と左肘を故障し、2度手術。八戸大(現八戸学院大)では、1年春から先発を任され、2年春と秋には北東北大学でMVPを獲得した。しかし、大学4年に左肩関節唇損傷でシーズンを棒に振った。「みんなに(プロ入りを)期待されてきたのに、自分の実力が足りなかった」と振り返る。

 苦難を乗り越え、自信を手に入れた。入社後も思うような投球ができず、焦った時期もあった。先輩の佐伯亮捕手(34)からは「全力で腕を振れ」と言われ続けてきた。故障した左肩は完治していたが、恐怖心から自制心が働いた。「あのケガから復帰できたんだから」。野球ができなくなるかもしれないと苦しんだ大学時代を思い出し、吹っ切れた。そんな自信がここに来て、好調につながっている。

 「ミスター社会人野球」に勇気をもらった。チームメートの大ベテラン西郷泰之内野手(40)の言葉が今でも忘れられない。どんな思いで長く野球を続けているかを尋ねた。「とにかく自分のパフォーマンスを最高の状態で出すだけ」。西郷のひたむきな姿勢に意欲がかき立てられた。だからプロはあきらめない。

 長谷川寿監督(46)は「プロに行く可能性は十分ある。むしろもっと早く行ってもらうつもりだったくらい」と期待を寄せる。桜田も「万全の調子で日本選手権に臨みたい」。大事な試合で、ずっと抱き続けてきた夢をかなえる。【保坂果那】

 ◆桜田裕太郎(さくらだ・ゆうたろう)1987年(昭62)5月8日、札幌市生まれ。札幌新発寒小3年から北発寒エンジェルスで野球を始める。札幌稲積中では札幌新琴似シニアに所属し、3年時に全国4強。横浜高では1年秋からベンチ入りし、3年夏はエースとして神奈川県大会4回戦敗退。八戸大では2年春秋連続リーグ優勝を果たし、MVPを獲得。左投げ左打ち。176センチ、78キロ。独身。