<東都大学野球:亜大4-3国学院大>◇第6週第3日◇17日◇神宮

 亜大が国学院大に勝利し、史上3校目のリーグ5連覇を決めた。ドラフト上位候補の九里亜蓮(あれん)投手(4年=岡山理大付)が5安打3失点で完投。今秋はフォーム改造など試行錯誤を繰り返したが、今春から10連勝、先発試合では7戦連続完投とエースの役割を果たした。この優勝で11月16日開幕の明治神宮大会の出場権を獲得。06年以来の大学日本一を目指す。

 秋晴れのようにさわやかな笑顔がはじけた。最後の打者を131キロのツーシームで空振り三振に仕留めると、九里は小さく跳びはねてガッツポーズした。スタンドから優勝を祝う紙テープが投げ込まれる。初の胴上げ投手となり「(捕手の)嶺井が走ってきて、こんなものなのかあと思いました」と喜びをかみしめた。

 悩み深き秋だった。開幕戦ではトルネード投法を披露。翌週はセットポジションでの投球に挑戦した。次々変わるフォームに、視察に訪れるプロのスカウトからは「大丈夫か?」と心配の声が上がった。それでも九里は「勝つために現状維持でなく、上を目指してやっている」と信念を持って取り組んだ。

 きっかけは6月に行われた大学日本代表選考合宿の紅白戦だった。甘く入った直球を痛打され、2回5失点。後輩の山崎康晃投手(3年=帝京)は代表入りしたものの、自らは落選する悔しさを味わった。「150キロをいくら投げようが甘く入ったら打たれる。ならば勝つために厳しくコーナーをつく投球を身につける」。フォームの変更は、球速を捨てて制球力を身につけるための挑戦だった。

 夏の間は毎日200球、今カードが始まる2日前には300球投げ込みフォームの安定を図った。自己最速147キロの直球は143キロ止まりでも三振は10個奪った。「球速が出ないからプロの評価が下がっているのは分かります。それでも三振も奪えるし、何よりも勝てているんで」。悩み抜いたエースが導いたのは優勝という最高の結論だった。【島根純】

 ◆九里亜蓮(くり・あれん)1991年(平3)9月1日、米フロリダ州生まれ。父マーク・アントニオ・シェックさんは、ブレーブス傘下マイナーで遊撃手としてプレー。3歳から父のマネをし、小3で米国の硬式野球チームに所属し内野手を務めた。小5から日本に移住。鳥取・米子市の東山中時代は米子ビクターズで投手。岡山理大付から亜大に進学した。大学通算19勝。186センチ、82キロ。右投げ右打ち。

 ◆東都大学リーグの5季連続優勝

 1939年春から41年秋まで、専大が6季連続優勝を達成(39年秋は中大、日大と3校同時優勝)。東洋大は07年春から09年春まで5季連続優勝した。史上3校目となった亜大は来春優勝すればリーグ記録に並び、戦後初の6季連続優勝になる。