<東京6大学野球:早大3-0法大>◇第1週第1日◇12日◇神宮

 今秋ドラフトの目玉、最速156キロの早大・有原航平投手(4年=広陵)が、春の開幕戦で4安打完封を決めた。法大・石田健大投手(4年=広島工)との“広島対決”を3-0で制して先勝。国内球団に加え、ヤンキース、ドジャース、マリナーズ、パドレスのメジャー4球団も視察する中、最速151キロで7三振を奪った。

 ライバルの存在が有原の闘志に火をつけた。5回2死、同じ広島出身の法大・石田が打席に立った。「石田はバッティングもいい。ピッチャーというよりバッターとして見ていました」。前の打席で安打を許しており、より力が入った。4球目に、この日最速タイの151キロをマーク。6球目も151キロを計測するなど直球で押し、9球粘られて四球を与えても、「感覚」がよみがえっていた。

 5回を投げ終えて、土屋遼太捕手(4年=早実)から「つかんだね」と声を掛けられた。序盤は思うように腕が振れず、ボールを見極められることが多かったが「あの回以降、バッターが真っすぐだと思って(変化球を)振ってくれるようになりました」。7奪三振中、終盤の3回だけで、すべて空振りで5三振を奪った。石田の2打席目で、本来の豪快なフォームを取り戻していた。

 187センチ、90キロの大型右腕は、最速156キロの直球が売りだ。大食漢で、食べ放題に出掛ければ誰にも負けない。一方でスライダー、カーブ、チェンジアップ、カットボール、ツーシームと5種類の変化球を操る繊細さがあり、オリックス中川チーフスカウトも「スケールも器用さもありますね」と評価する。打っては3回に右中間へ先制の適時二塁打。国内球団に加え、ヤンキース、ドジャースなどのメジャースカウトも熱い視線を送る中、投打にわたって活躍した。

 100球を越えた9回に150キロ台を連発するなど、スタミナも抜群だった。「冬場の投げ込みの効果で、後半になっても球威が落ちなかった。進化したかなと思います」。花粉症を忘れ、120球を投げ切った。「急に(鼻に)きました」と試合後は、鼻をぐずぐずさせたが、同郷対決を制した表情はすがすがしかった。【和田美保】