<東京6大学野球:慶大13-2東大>◇第2週最終日◇20日◇神宮

 東大が、リーグワーストタイとなる70連敗を喫した。先発の辰亥由崇投手(3年=高松)が5回2失点と粘り、9回には内野ゴロの間に今季初得点を挙げたが、2-13で敗れた。70連敗は87年秋から90年秋にかけて東大が記録して以来。10年秋の早大1回戦で、日本ハム斎藤(当時早大)に勝利して以来の連敗となった。

 東大が91年春の開幕戦で70連敗を止めた相手は立大だった。平成に入って4度最下位を脱したが、いずれも6位は立大。優勝もするが、成績に波があった立大が、08年入学者から「アスリート選抜入試」を導入した。以降、毎年5人、甲子園で活躍した好選手が入学する。昨年は春3位、秋2位の好成績を残した。

 東大が勝てない。大きな理由の1つは、もちろん入試制度にある。

 日本最難関の大学で、スポーツ推薦制度はない。一方で他の5大学は全国から、トップレベルの高校生が集結する。各大学で条件などは異なるが、一般的に明大、法大は毎年約15人、早大は3~4人、慶大は大学に推薦制度はないが、付属の慶応高に好選手が集う制度がある。「5強1弱」の状況は、近年より顕著になっている。

 この日、東大の2番手で登板した石上翔太投手(4年=栄光学園)は、4浪で入学した25歳。先発メンバー中4人が浪人生だ。約5年前からは、毎年夏にグラウンド近くの「更新館」を宿舎にして、約2週間の勉強会を開催する。下級生部員が中心になって、東大で野球がしたい全国の高校生に勉強を指導。塾講師を務める浜田監督も参加し、今年までに3人が合格した。

 幅広く選手を集める努力は続けるが、他大学との差は埋まらないのが現状だ。最大の課題は打撃で、桑田氏が特別コーチを務める投手陣は、昨秋00年以降最高のチーム防御率4・60をマークした。粘り強くなったが、それでも4点台。今後もプロを目指す他大学のエースたちと、厳しい戦いが続きそうだ。【前田祐輔】