鬼退治は任せろ!

 仙台大(仙台6大学)の4番松本桃太郎内野手(2年=北海)が、初出場のチームを全国1勝に導く。全日本大学野球選手権は10日に開幕(神宮ほか)。昨秋3冠王、今春は本塁打と打点の2冠に輝いた主砲は、走者をかえす打撃を誓った。11日の初戦2回戦(神宮)は、富士大(北東北)と福岡大(九州6大学)の勝者と対戦する。

 67季ぶりリーグ制覇の歓喜はもう終わった。「桃太郎」で親しまれる仙台大の松本が、全国へ進撃する。「モチベーションが上がってきた」。富士大に右腕多和田真三郎(3年=中部商)、福岡大には左腕の唐仁原志貴(とうじんばら・もとき=3年、小林)と、来年のドラフト候補がいる。好投手を擁する勝者と初戦を迎える。「いい投手と聞いている。楽しみ」と“鬼退治”に力を入れた。

 軟式の小学6年、硬式チームに所属した中学3年、北海高(北海道)1、2年時に全国大会に出場した。大学でもその舞台に立つ。神宮は中学、北海では明治神宮大会で経験した。仙台大ナインの多くが初めてプレーする球場は、松本にとっては愛着のある場所だ。

 昨秋リーグ史上初の1年生3冠王に輝き、マークが厳しくなった今春。最多タイの9四球と勝負を避けられる打席が増えた。それでも14打点3本塁打の2冠を獲得した。森本吉謙監督(39)は「ブレずにきている」と評価する。松本も「マークされながらタイトルを取れたのは大きい」。甘い球を見逃さず、ひと振りで打点を挙げアーチをかけた。

 神宮では本塁打にこだわらない。「ワンチャンスで1本(安打)出して走者をかえしたい」。強豪ぞろいのトーナメントだからこそ、ひと振りで仕留める打撃が勝敗の鍵を握る。父喜道(よしのり)さん(44)と母恵子さん(51)から「たくさんのいい仲間をつくってほしい」との願いを込めて名付けられた桃太郎。その名を大学野球にとどろかせる。【久野朗】

 ◆松本桃太郎(まつもと・ももたろう)1994年(平6)11月11日、北海道岩見沢市生まれ。岩見沢中央小3年から岩見沢CSBで野球を始める。小4で岩見沢美園スターズに移る。中学3年時には札幌新琴似シニアで全国準優勝。北海高では1年秋からベンチ入り。甲子園には2年の春夏に連続出場して春8強。仙台大では1年春からレギュラー。家族は両親、兄、妹、弟。右投げ左打ち。175センチ、67キロ。血液型A。