<明治神宮大会:駒大3-1中部学院大>◇16日◇大学の部準々決勝◇神宮

 阪神3位の駒大(東都大学)江越大賀外野手(4年=長崎海星)が、「肩」と「足」で魅せた。3回2死二塁から、広島1位の中部学院大(北陸・東海3連盟)野間峻祥外野手(4年=村野工)の中前打を本塁に好返球して補殺を記録するなど、13年ぶりに4強進出した。

 来季セ・リーグの即戦力候補が、前哨戦で火花を散らした。3回2死二塁。中堅を守る駒大・江越が、中部学院大・野間の中前打に反応した。定位置から勢い良く前進し捕球すると、本塁めがけてレーザービーム。本塁へ突っ込もうとした二塁走者はあまりの好返球に観念したのか、本塁手前で速度を緩めたほどだった。「今永が本来の投球じゃなかった。何とか助けたかった」と、遠投120メートルの強肩が同点危機を救った。

 ライバルの存在が闘争心を駆り立てた。阪神ドラフト3位の江越は、広島1位の野間にライバル心を燃やしていた。「(野間は)やっぱりいいものを持っているし、負けたくなかった」。同一リーグに飛び込むドラフト同期生、走攻守そろった同じタイプの外野手として、強く意識した。

 4回には四球で出塁すると、50メートル5秒8の俊足を生かして二盗。貴重な追加点につなげた。阪神佐野アマスカウト統括は「もともと肩と足がいい選手。いいものを見せてもらいました。肩の強さは、うちの若手の外野手だったら屈指だと思います」と、あらためて評価した。2回にも死球で出塁するなど、安打こそなかったが、存在感は光っていた。

 試合後、江越はインタビュー室への入れ違いで野間とすれ違い、初対面を果たした。「野間に声をかけられて、『次、頑張れよ』と言われました。1試合1試合大事に戦っていきたいです」。ライバルにかけられた言葉も、優勝への力に変える。【和田美保】