<明治神宮大会:東農大北海道オホーツク3-2上武大>◇17日◇大学の部準々決勝◇神宮

 守って、守って、歴史に並んだ。大学の部で東農大北海道が初の4強入りを果たした。ヤクルト2位指名のエース風張蓮(4年=伊保内)を温存も、先発した井口和朋投手(3年=武相)が6回を2安打8奪三振で無失点。打っても先制の右越え適時二塁打を放った“神宮の申し子”の活躍で、接戦を制した。北海道勢では86年大会の札幌大以来、28年ぶりのベスト4。今日18日に優勝候補の駒大(東都大学)と対戦し、道勢初の決勝進出を狙う。

 マウンドの3年生は冷静だった。東農大北海道の井口は「真っすぐで押していけるのが自分の持ち味。昨日から、心の準備は出来ていた」。エース風張がいるにもかかわらず先発を任された絶好調の最速147キロ右腕は、首脳陣の期待に応えて6回を2安打無失点。5回2死満塁のピンチで、上武大の4番打者をアウトローいっぱいの143キロ直球で空振り三振に仕留めるなど8奪三振で、試合の主導権をぐっとつかんだ。

 昨年の全日本大学選手権、そして今年の明治神宮大会と、神宮では通算4度登板して、計15回2/3を無失点。聖地のマウンドと抜群の好相性を誇る“神宮の申し子”は、打っても5回に投手戦の均衡を破る適時二塁打を右越えへ放った。北海道学生リーグは指名打者制で、打席に立つ機会はほとんどないため「高校生以来のヒット。たまたまです」と、思わぬ一打に照れ笑いを浮かべた。

 鉄壁の内野守備も投手をもり立てた。6回無死三塁で、二ゴロをさばいた諸永秀幸二塁手(2年)が、迷わずホームへ送球。瞬時の判断と正確なスローイングで同点を阻止した。樋越勉監督(57)は「冬の間、屋内施設で内野だけのリーグ戦をやって鍛えてきた」と、持ち味を発揮しての勝利にご満悦だった。

 大黒柱の風張が存在感を発揮する間もなく、全員で守っての4強入り。準決勝は、過去4度優勝の駒大に挑む。「今も昔も名門。胸を借りるつもりで、ぶつかりたい」。道勢初の頂点まで、あと2つ。樋越監督の言葉に、一段と力がこもった。【中島宙恵】

 ◆北海道勢の明治神宮野球大会大学の部成績

 東農大北海道は準決勝に進出したことで道勢最高成績ベスト4(札幌大2度=77、86年大会)に並んだ。昨年まで18代表中、初戦突破は札幌大2度だけだったが、今大会の東農大北海道は28年ぶりの1大会2勝。道勢通算は5勝18敗となった。