<明治神宮大会:駒大3-0東農大北海道>◇18日◇大学の部準決勝◇神宮

 大学の部準決勝で、東農大北海道は駒大(東都大学)に競り負け、道勢悲願の決勝進出はならなかった。0-0の8回、3人目の玉井大翔投手(4年=旭川実)が、2点中前打と押し出し死球を許し、3点を失った。ヤクルト2位の風張蓮投手(4年=伊保内)は、初戦で痛めた右太もも裏の状態が思わしくなく、準々決勝に続いて登板を回避。エース不在の中、過去4度優勝の強豪に善戦したが、及ばなかった。

 3点を追いかける9回の攻撃。無死満塁のチャンスを、東農大北海道のエース風張は祈る思いで見つめていた。「ワンチャンスというところ。バッターを信じていました」。願いは通じず、1点も返せないままゲームセット。「自分がしっかり(試合に)出て行けなかったのが悔しいです。自分が悪い。信頼される投手になりたかったので、もどかしさはある」。チームに貢献できないまま終わった、大学最後の大会。準々決勝に続き2試合連続でベンチを温めるしかなかった剛球右腕は、悔しさでいっぱいだった。

 初戦の京産大戦でベースカバーに入った際に右足太もも裏をつり、1回、わずか16球でマウンドを降りた。「自分は大丈夫という意気込みだったんですけど…。投げているぶんに支障はなかったけれど、強いダッシュの時に少し違和感があった」。首脳陣に登板を直訴したが受け入れられず、もどかしい思いを抱えたまま、7回まで0が並んだ投手戦を見つめていた。

 エースの不在を、他の投手陣が埋めて準決勝まで勝ち上がった。2戦連続で先発した井口和朋投手(3年=武相)、守護神の玉井の2人は3戦連続の登板でフル回転。風張を含めて140キロ台後半の直球を持つ本格派を3人擁していただけに、樋越勉監督(57)は「上を狙えるかと思ったけれど」と無念の表情だ。

 道勢は、春の全日本大学選手権、秋の明治神宮大会と、6度準決勝に進出しながらすべて敗退。そのうち、零敗に終わったのは5度に上る。4度得点機を迎えたこの日も、ホームは遠かった。「もっと点数を取れるようにならないといけない。チャンスに強い打者を作らないといけない」と樋越監督。敗戦の中から、準決勝の壁を破るヒントをつかんでいた。【中島宙恵】