野茂英雄(40)はメジャーリーグでもプレーしたが、アマチュア時代は日本代表でソウル五輪に出場し、銀メダルを取っている。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)と五輪の野球について聞くことにした。2つの国際大会、野茂にはどう映っているのだろうか。そしてメジャーのキャンプが始まる時に、もうひとつ聞きたいことがあった…。それぞれに、野茂の考えがあふれ出た。(敬称略)(聞き手・南沢哲也)
現役なら出場する
―WBCという大会についてどう見ていますか。メジャーリーグの世界戦略のひとつだと思うが
「世界に野球をアピールするという意味においては非常に良い大会だと思います。ヨーロッパからみれば野球はマイナースポーツかもしれないですけど、世界的なイベントで、情報を知ってもらうことはいいことだと思う」。
―大会がシーズン前の3月になる。どう思うか
「この時期しかないんじゃないですかね」。
―選手たちにとって、この時期はどうなのでしょうか
「やっぱり世界的に(野球の)コマーシャルを打たなきゃいけないわけですから。(MLBとしては)スター選手も出したいですし、(選手は)パフォーマンスもある程度は出さなきゃいけない。けれど、選手たちのメーンはシーズン中のゲームですから、ここに支障が来るようなプレーはしてほしくない。ルール(球数制限など)もできていますけど、そういうことも考えて、選手も、首脳陣もやってほしい。僕の希望は、キャンプの延長であってほしいし、シーズン前の調整であってほしい。それでいい勝負がみられたらなあと思いますけどね」
―けがをしないでほしい、ということはよく言いますが
「自分たちを応援してくれているのは(所属球団の)地元のファンが一番だと思う。WBCはスター選手が出るべき大会ですし、そのスターがけがをして(球団に)帰って来るのが、ファンは一番悲しむと思う。開幕からスター選手がいないのは、チームにもファンにも良くない。あくまでも僕の希望ですけど、けがせずに戦ってもらって、予選(第1ラウンド)は勝ってもらいたいと思います」。
―前回よりは勝ち抜くのは厳しい大会になるのではないか
「日本もエース級のピッチャー何人か集まるわけですから、例えば大事な試合は1人1イニングでも、球数決めて投げていけば、まあ全員0に抑えれば勝つんじゃないかと思いますけどね」。
―日本の選手がメジャーのボールを使って「滑りやすい」という話を聞く。でも、そういう話は現役時代から1度も聞いたことがなかった
「僕の場合はアメリカに行った当初から全然気にならなかったです。ただ、肩を手術(04年、クリーニング手術をした)した後のオフに、日本のボールで遠投をやったら、きれいなボールが行った。ところがアメリカのボールに持ち替えたら、(なかなか)行かないんですよ。きれいなボールが。そのときに初めて『アメリカのボールってちょこっとだけ重たいな』って感じた。それまではまったく感じなかったです」。
―「滑る」というのとは違う?
「はい。ちょっと重たいってかんじですね。それまでは全然(思わなかった)。『何がちゃうねん』って思ってましたけどね。メジャーに行った選手でも実際ボールが合わなくて苦労している選手いると思いますよ。口には出さないでしょうけど」。
―手が、選手たちの中で特に大きいということは
「同じくらいじゃないですか」。
―マウンドは。日本と傾斜が違うとか、硬さがちがうとか
「(条件は)一緒です。そういうの全然気にしたことなかったです。球場によって(傾斜も硬さも)全然違うと思ってやっていましたから」。
―アジャスト(適応)する能力は自然なのか、鈍感なのか(笑い)
「鈍感なんでしょうね(笑い)。(適応できなかったのは)暑さくらいですかね。(夏のグラウンドの上は)めちゃくちゃ暑いですよ」。
―米国では4大スポーツ(MLB、NBA、NFL、NHL)が盛んだ。MLBを、その中でどう見ていますか
「アメリカはスポーツがビジネスとして成り立っている。4大スポーツだけじゃなく、ゴルフもそうですし、テニスもそうですし、まあサッカーもそうです。その中で野球が歴史もあり、試合数も多く、人気もある。日本でも、6試合でそれぞれ観客が1万人入ったとして1日に最低6万人が見に来るイベントなわけですよ。アメリカでは(30球団なので)15試合あるから、最低でも毎日15万人が球場に足を運ぶ。それが約6カ月半、ほぼ毎日続く。それを何年もずっと維持できる。こんなエンターテインメントはほかにない。僕が実際アメリカにいてもそれは感じます。いろいろなスポーツの中でMLBが一番試合数が多いのですからね。そこはすごいと思う」。
―もし、現役の時にWBCに出てほしいという要請があったら出場していましたか
「要請があったら出るでしょうね。リハビリ中とかの理由があれば別ですけれどね。体が万全ならば、ですね」。
バックナンバー
- 1. 引退
- 2. MLB
- 3. 未来
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- 5. 五輪
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- 11. プロ野球新人時代
- 12. プロの価値観とは
- 13. 少年時代
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- 15. 優勝渇望
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- 19. 高校 -今思う
- 20. トルネード -自己流
- 21. トルネード -仰木さん
- 22. トルネード -不変性
- 23. トルネード2 -Image
- 24. トルネード2 -Damage
- 25. トルネード2 -Advantage
- 26. 世界への挑戦1
- 27. 世界への挑戦2
- 28. フォークボール1
- 29. フォークボール2
野茂英雄(のも・ひでお)1968年(昭43)8月31日、大阪市生まれ。成城工-新日鉄堺。88年ソウル五輪に出場し銀メダル。89年、8球団の競合の末、ドラフト1位で仰木監督の近鉄に入団。体を大きくひねる独特の「トルネード投法」と、鋭いフォークボールによる奪三振などでいきなり18勝を挙げ、スター選手に。90-93年まで史上唯一の4年連続最多勝をマーク。
95年にドジャースに入団し、13勝6敗でナ・リーグ新人王。球宴にも出場し先発を務めた。ド軍2年目の96年(対ロッキーズ)、レッドソックス時代の01年(対オリオールズ)にノーヒットノーランを達成(両リーグでの達成は史上4人目)。
06、07年はメジャーでのプレーはなかったが、08年にロイヤルズで復帰。しかし白星を挙げることなく4月末に自由契約。同年7月、現役引退を発表した。
日米通算201勝155敗1セーブ、3122奪三振。現役時代のサイズは188センチ、104キロ、右投げ右打ち。03年にNPO法人「NOMOベースボールクラブ」を設立。家族は夫人と2男。
野茂氏のオフィシャルサイトがオープン。
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