4月からある程度ピークに
―メジャーの開幕が近づいてきています。例年ならば、この時期どんなことを考えていますか
「キャンプに入って最初はだいたい大学生と(オープン戦を)やりますが、そこで、ああ始まったなあと感じます。(投手としては)開幕に投げるか投げないかで気持ちや調整は違います。2戦目ならば1試合見てから投げますし」
―開幕投手何回も経験していますが
「そんなに投げていないですよ。日本では最後の2年間だけです。アメリカでは3回です」(注1)
―1試合見てから登板するのではだいぶ違いますか
「まあ、どっちでもいいんですけど(笑い)。ちょっとだけ違います」
―投手は1年のシーズンを見据えて8、9月に調子をピークに持って行こうと考えてやっているのか
「基本的には、終盤まで考えてやった方がいいんですけど、開幕投手だったり2番手だったりすると、4月からある程度(パフォーマンスを)ださなきゃいけないというのがあったので、キャンプでも力入れて調整していましたけどね」
―日本にいるときは
「日本にいるときは最後(シーズン終盤)までいっても疲れるということを知らなかったので(笑い)。日本にいるときは、投げるのが当たり前だったので。はい」
―メジャーに行ってからは配分を考えた
「やっぱり(94年に)肩壊して、向こう行って1年目(95年)が徐々に投げられるようになってシーズン最後まで行けました」
―ほとんどローテーションを崩さなかった。爪が割れた時にずらしたくらいだった
「そうですね」
―向こうでは先発が中4日で回り、それで200イニングを投げるというのが、ものすごく評価が高い
「それが、ひとつのウリですからね。(先発に入ったいい投手が)5日に1回投げてくるというのが」
―メジャーはなんで先発5人なんでしょう。
「それで十分回っていけるからじゃないですかね」
―日本も取り入れた方がいいと思いますか
「まあ、選手によりますけどね。中6日、中5日あった方が、よく投げられるというピッチャーもいますから」
―中4日でも完投したいというタイプだったでしょう
「そうですね」
―100球ぐらいの球数制限があったのは嫌だったですか
「(行った当初は)肩痛めてから行っているので、球数制限を、逆にしてくれて良かったかな、と思います」
―チーム全体の戦い方としては長丁場のシーズンをどうみているのか
「僕がいたチームの感じだと、シーズン中にけが人がでなければそこそこ勝っていますし、けが人が出たらどうしようもなかったです。デトロイトの時に、開幕勝ってから、8連敗ぐらいしたかな。きつかったですよね。暗ーい雰囲気になりますしね。けが人も出ますしね。けが人でなければいいんですけどね。勝てずにけが人出るっていうのは最悪でしたね」

六本木に野球場があったら
―9月に入る時に何ゲーム差ならいけるというのはありますか
「そのときのチーム状況によりますね。5ゲーム差ぐらいだったら全然(いける)。それだったら、まだワイルドカードもかかっているくらいでじゃないですか。それ以上だったらきついですね」
―終盤でこのチームの雰囲気がよかったというのはありますか
「(優勝争いに)絡んだのがドジャースの時だけなので。あとはミルウォーキーの時かな、結局9月の中盤からは消化ゲームになったんだけど、8月くらいまでは、ワイルドカード争っていたんですよね。急にチームが強くなって勝ちだして。そのときはチームの雰囲気は良かったですね」
―ボストンの時は
「ボストンの時は結局けが人がでてペドロ(マルチネス)も、(ジェイソン)バリテックも、ノーマー(ガルシアパーラー)もだめになってしまったので。それでだめになった」
―9月の試合になると1試合がシーズン当初の何試合分にも匹敵するような激しい戦いになる
「はい。結局、球数制限があるというのが、ピッチャー陣に9月、10月まで余力を残しておいてほしいという思いなので、シーズン前半で無理して後半疲れてしまわないようにという狙いがあるんです」
―東海岸と西海岸で野球の違いはありますか
「野球に差はないです。ただ、ボストン、ニューヨーク、ボルチモアといった、歴史のあるチームと戦う時は、いい雰囲気ですけれどね。お客さんも盛り上がっていますし」
―今季もニューヨークのメッツ、ヤンキースの両球場とも新しくなる。メジャーでは、ここ10年くらいで相当、球場が新しくなっている。
「いいことですけどね。やっぱりエンターテインメントの職業ですので器が大事。環境も大事です。当然、“役者(選手)”も大事ですけれど。ゲームがよりよく見られてよいのではないですかね。残しておかなければいけない古い球場は大切にしますし。なぜ、日本は人が集まるところに野球場とかできないんですかね。なんでショッピングモールになってしまうんでしょうかね。例えば六本木の防衛庁のところ(ミッドタウン)に野球場とかできないですよね。あったら見に行くと思いませんか。きょう映画見ようと思うのを、野球にしよう、とか思いませんかね。ショッピングして帰りに野球でも見ようか、ってならないですかね。人が集まるところに人が集まるものを持ってきた方がいいんじゃないですかね。そういう状況になれば、チームも考えて努力するんじゃないですかね。ファン層も少し変わってくるわけだし。野球だけを見に来るお客さんだけじゃなく、野球プラス何かだったり、何かプラス野球だったりという人が増えるわけだから…ないですかねえ?」
【注1】野茂の開幕投手 日本で2度、大リーグで3度ある。近鉄時代に初めて開幕投手を務めた93年は日本ハム戦で147球を投げ完投勝利。94年の西武戦は8回までノーヒットノーランの快投も、9回先頭の清原に二塁打を打たれ1死後に降板。2番手の赤堀が伊東に逆転サヨナラ満塁本塁打を喫し、勝利をフイにした。ドジャース時代の03年はランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)と投げ合い、完封勝ちした。
【注2】野茂に優勝経験 野茂は近鉄では優勝を経験していない。95年ドジャースの1年目でナ・リーグ西地区で優勝した。優勝を決める試合で先発し、勝利投手になっている。2年目の96年もドジャースは最後まで優勝争いをし、ワイルドカードでプレーオフに進出している。だが、ともに地区シリーズで95年はレッズに、96年はブレーブスに3連敗で敗れた。99年のブルワーズは野茂はチーム最多の12勝(8敗)を挙げたが、チームは最後はナ・リーグ中地区5位に終わった。
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- 26. 世界への挑戦1
- 27. 世界への挑戦2
- 28. フォークボール1
- 29. フォークボール2
野茂英雄(のも・ひでお)1968年(昭43)8月31日、大阪市生まれ。成城工-新日鉄堺。88年ソウル五輪に出場し銀メダル。89年、8球団の競合の末、ドラフト1位で仰木監督の近鉄に入団。体を大きくひねる独特の「トルネード投法」と、鋭いフォークボールによる奪三振などでいきなり18勝を挙げ、スター選手に。90-93年まで史上唯一の4年連続最多勝をマーク。
95年にドジャースに入団し、13勝6敗でナ・リーグ新人王。球宴にも出場し先発を務めた。ド軍2年目の96年(対ロッキーズ)、レッドソックス時代の01年(対オリオールズ)にノーヒットノーランを達成(両リーグでの達成は史上4人目)。
06、07年はメジャーでのプレーはなかったが、08年にロイヤルズで復帰。しかし白星を挙げることなく4月末に自由契約。同年7月、現役引退を発表した。
日米通算201勝155敗1セーブ、3122奪三振。現役時代のサイズは188センチ、104キロ、右投げ右打ち。03年にNPO法人「NOMOベースボールクラブ」を設立。家族は夫人と2男。
野茂氏のオフィシャルサイトがオープン。
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