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野茂英雄のメッセージ

不変性

 プロに入ってからのトルネードは充実の時を迎える。

 プロに入って以降も少しずつ、フォームは変わっていたのだろうか。

 「はい。やっぱり、クセが一番大きいかな。もろにわかるクセは変えなきゃしょうがないですから」。

―それは修正しているということか

 「はい。プロではああいう投げ方になった。社会人のままのスタイルでは、やはり無理なんですね。球種バレバレですからね。プロに入って、いろんなことを教わって、もろにわかるものはわからないようにしていかなければならない」。

 修正を重ねながら、トルネードは少しずつ安定感を増していく。

―例えば筋力がつく、ということによって投げ方が変わっていくというようなこともありましたか

 「うーん、そこはわからないですけれどね。(プロになって年月を経ると)より安定したものを出さなきゃいけないですし、社会人から近鉄のころは、体もまだ大きくなっていましたから、あったかもしれませんが、それ以降はどれだけ1年間安定してやれるか、いいパフォーマンスを出し続けられるか、っていうことを念頭に置きながらフォームを作っていました」。

―年齢によってもフォームは変わっているか

 「それは変わっていると思いますよ。自然とね。それはまあしょうがないことであって。自分の投げる気にしている部分だとか、タイミングだとか、感覚だとかは一緒ですけれどね」。

 プロのピッチャーは、シーズンを終え、オフシーズンになって、またトレーニングを始めて、次の年のピッチングを固めていく。

 その時、前の年のいいイメージを描いて、そこに持っていこうとしているのだろうか、それとも投げているうちに、今年はこういう感じだなあ、となっていくのだろうか。

 人間の成長、体の成長、体力、体格の変化、あるいは年齢による衰えの中で、どうやって毎年毎年のピッチングを固めていくのだろうか。実際、メジャーリーグに行ってからは、年齢にもともなって毎年少しずつトルネードも変わっていた。トレーニング方法や、けがの影響もあるだろう。だが、投球そのものは変わっていなかった。野茂そのものなのだ。そのことを聞いてみたかった。

 野茂は、身ぶり手ぶりを交えながら、本質について話し始めた。

 野茂の投げる姿には、人を引きつけるものがある。野茂の生き方と重なるからだ。トルネードの話を聞きたかったのは、生き方を探りたかったから、と言ってもいい。

 自分のスタイルを貫きながら成長し、当初は「押しつけ」だったかもしれないトルネードの名前は、きちんと野茂のアイデンティティーになった。自己流から始まり、巡り合わせもあって誰からも直されず、甲子園に出なくても、社会人で飛躍し史上最多のドラフト指名を受けて、日本のプロ野球を驚かせ、メジャーをもうならせた。こんな痛快なことがあるだろうか。

 だから、トルネードの話はそう簡単に尽きることはない。(以下、8月に続く)。

NOMO×NIKKAN

 野茂英雄(のも・ひでお)1968年(昭43)8月31日、大阪市生まれ。成城工-新日鉄堺。88年ソウル五輪に出場し銀メダル。89年、8球団の競合の末、ドラフト1位で仰木監督の近鉄に入団。体を大きくひねる独特の「トルネード投法」と、鋭いフォークボールによる奪三振などでいきなり18勝を挙げ、スター選手に。90-93年まで史上唯一の4年連続最多勝をマーク。

 95年にドジャースに入団し、13勝6敗でナ・リーグ新人王。球宴にも出場し先発を務めた。ド軍2年目の96年(対ロッキーズ)、レッドソックス時代の01年(対オリオールズ)にノーヒットノーランを達成(両リーグでの達成は史上4人目)。

 06、07年はメジャーでのプレーはなかったが、08年にロイヤルズで復帰。しかし白星を挙げることなく4月末に自由契約。同年7月、現役引退を発表した。

 日米通算201勝155敗1セーブ、3122奪三振。現役時代のサイズは188センチ、104キロ、右投げ右打ち。03年にNPO法人「NOMOベースボールクラブ」を設立。家族は夫人と2男。

野茂氏のオフィシャルサイトがオープン。

NOMOベースボールクラブ



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