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野茂英雄のメッセージ

Damage 最後は本人。教えられない

 長い野球生活の中では、当然波もある。つかんだ感覚は忘れなくとも、体がその感覚についていかない時もある。苦しんだ時もある。

 「ひじ手術した後もそうですし、肩手術した後もそうでした。自分の腕が自分の感覚じゃない時は、全然狂いますよ。自分の腕が全然違いますから、『自分の感覚』がないんですよ。わかっているんですけど、おかしいなあって。ここだって思ったときにバチンとこないんですから」。

―クリーニングというような簡単な手術だけでも違うものなのか

 「全然違いました」。

 メジャーリーグに行ってからドジャースで3年プレーした後の97年オフにひじのクリーニング手術(遊離軟骨除去)をしている。翌98年は不調でドジャースで2勝、シーズン途中にメッツに移籍して4勝の計6勝のみ。

 「本当は(つかんだ感覚が戻るまで)時間をかければよかったと思うんですよ。でもそれよりも試合に出たかったという気持ちが僕の場合は強かったから。休みたくなかったですし。投げた結果が悪くても次はなんとか行けるだろうみたいな…でも、それも自分の責任なんですよ。(翌99年の)ミルウォーキーで投げ出して、やっと(感覚と)合ってきたって感じですからね。(00年の)デトロイトの後半のころはもうすっかり戻っていましたけれど」。

―06年の春に、またひじを痛めた時に、同じような状況になったのか

 「本当は(徹底的にリハビリに)専念すればよかったと思うんですよ。壁を越えた経験がある人は(つかんだ感覚を持っているのだから、時間をかけて感覚を取り戻せばよかったと)みんな思う。1回成功して続けている人はわかっているはずです」。

 悔しそうな、さびしそうな表情を一瞬見せたのが心に残った。

 「壁を越える」ことができた人はいい。でも、できない人もいる。

 「そうです。そこはね、教えることができない。壁を越えさせてあげることまではできない。いろいろなアイデアを出してあげることはできる。壁を登るのに、もっと助走しろよ、とか、我慢して登ってこいよ、とかあそこに足をかけた方がいい、とか、でも最後に壁を越えるのは、本人。越える感覚をつかめるかどうかは本人ですからね」。

 自力で越えたからこそ、つかんだ感覚は2度と忘れないことになる。

NOMO×NIKKAN

 野茂英雄(のも・ひでお)1968年(昭43)8月31日、大阪市生まれ。成城工-新日鉄堺。88年ソウル五輪に出場し銀メダル。89年、8球団の競合の末、ドラフト1位で仰木監督の近鉄に入団。体を大きくひねる独特の「トルネード投法」と、鋭いフォークボールによる奪三振などでいきなり18勝を挙げ、スター選手に。90-93年まで史上唯一の4年連続最多勝をマーク。

 95年にドジャースに入団し、13勝6敗でナ・リーグ新人王。球宴にも出場し先発を務めた。ド軍2年目の96年(対ロッキーズ)、レッドソックス時代の01年(対オリオールズ)にノーヒットノーランを達成(両リーグでの達成は史上4人目)。

 06、07年はメジャーでのプレーはなかったが、08年にロイヤルズで復帰。しかし白星を挙げることなく4月末に自由契約。同年7月、現役引退を発表した。

 日米通算201勝155敗1セーブ、3122奪三振。現役時代のサイズは188センチ、104キロ、右投げ右打ち。03年にNPO法人「NOMOベースボールクラブ」を設立。家族は夫人と2男。

野茂氏のオフィシャルサイトがオープン。

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