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中日53年ぶり悲願名古屋で再現/日本S

7回裏、中村紀は適時打を放ちガッツポーズ。投手は武田久(撮影・浅見桂子)
7回裏、中村紀は適時打を放ちガッツポーズ。投手は武田久(撮影・浅見桂子)

<日本シリーズ:中日4-2日本ハム>◇第4戦◇10月31日◇ナゴヤドーム

 中日が3連勝で53年ぶりの日本一に王手を掛けた。2-2の同点で迎えた5回に日本ハム吉川の暴投で勝ち越すと、7回には今シリーズ絶好調の中村紀洋内野手(34)がチーム唯一の適時打を中前に放ってダメを押した。1日、日本ハムのエース・ダルビッシュを打ち、初戦を制しながら4連敗で涙をのんだ昨年の逆パターンでリベンジVを狙う。

 日本一へ、最後の扉までたどり着いた。王手をかける1勝をグイッと引き寄せたのは、中村紀のバットだった。1点リードの7回1死二、三塁。カウント2-0と追い込まれながらも粘り、最後は武田久の9球目、外角直球をとらえた。打った瞬間に右拳を握り締めて、バットを地面にたたきつけた。打球は中前へ抜けていった。

 「気合で打ちました。後ろに岩瀬がいるので、何とか1点という気持ちで打ちました。(腰痛緩和の)薬を飲みながらやっているが、あと1勝と思えば、そういうことも忘れる」。井端をかえし、3戦連続の適時打となった。「気力で、何とか日本一になれるように。明日は異様な雰囲気になるでしょうね」と言った。

 気迫で痛みをカバーした。背骨の一部がずれており、ふとしたしぐさで神経を圧迫して痛みが走る日々が続く。不幸中の幸いは、骨と骨の間にすき間があるために、圧迫の度合いが少ないことだけ。背中を反るような姿勢をとれば痛みが走るが、勝負強さが勝った。

 昨オフにオリックスとの契約がこじれ、中日に拾われた形で現役続行の道が開かれた。かつて年俸5億円を稼いだ男が年俸600万円(ともに金額は推定)。家族を兵庫・芦屋に残し「税金が払えない」と苦笑いする名古屋市内のホテルでの単身赴任がスタート。慣れない生活の中で、家族との会話は何よりの癒やしだった。だが携帯電話の通話料もばかにはならない。春先には携帯電話会社を切り替え、家族間での通話が無料になる月額980円の格安プランを申し込んだ。少ない家族団らんの代わりにじっくり話せる時間が激動の1年の救いだった。この日もスタンドには妻と3人の娘の姿があった。

 接戦をものにした落合監督は「オレは大して動いていない。シーズン通りの野球をやった。各選手が持ち場を守って、やってくれた」とナインをたたえた。この日の適時打は中村紀の1本だけ。相手より少ない5安打ながら、四死球、失策、暴投など相手のミスを突いて3連勝と飾った。

 「何とかここ(名古屋)で終わらせたいという気持ちはありますけど。明日勝ったら、1日だけゆっくり喜ばせてもらいますよ」。初戦で負けたダルビッシュに雪辱して一気に決める。過去に2度、日本一を逃しているだけに落合監督が珍しく色気を見せた。地元名古屋での53年ぶり2度目の頂点、そしてリーグを制していないチームが初めて日本一になる歴史的瞬間は目前に迫った。【益田一弘】

[2007年11月1日9時38分 紙面から]

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