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西武、火山灰の影響受け緊急避難
- タオルで顔を覆いながらブルペンから避難するチーム関係者(撮影・下田雄一)
西武の宮崎・南郷キャンプが火山灰の影響をモロに受け、選手らが一時緊急避難する騒動があった。3日、鹿児島・桜島で噴火があり、西風に乗って約70キロ離れたキャンプ地に約20分ほど降灰があった。屋外で初の投球練習を予定していた石井一久投手(34)は急きょ室内練習場に逃げ込むなど、練習メニューの一部変更も余儀なくされた。大きな被害は出なかったが、シーズン前から災難に見舞われた。
晴天の南郷の青い空から突然、黒いチリ状のものが降ってきた。サブグラウンドのブルペンで待機していた石井一が異変に気付く。10キロ以上ある荷物を抱え、79段の階段を駆け上がって室内練習場へと逃げ込んだ。移動直後、室内でブルペン投球したが「ピッチングをやる前に息が上がってました」。ヤクルトからFA移籍で注目された初投球が、ドタバタに巻き込まれた。
謎の飛来物の正体は、火山灰だった。気象庁などによると、3日午前10時18分、南郷から西に約70キロ離れた桜島で1月7日以来の噴火が記録され、噴煙は火口上1500メートルまで上がった。その火山灰が風速10~17メートルの強い西風に乗って、宮崎県の海岸沿いにある南郷にピンポイントで到達。噴火から約50分後、キャンプ地に約20分間にわたって降り注いだ。
大量の細かい灰が目に入るため、練習メニューも一部変更された。投手陣は屋外ブルペンでの投球練習を中止し、室内練習場へと切り替えた。目を隠して避難した三井は「投げるのは無理。死んじゃうよ」と恐怖を振り返った。室内にいた涌井、岸らは被害にあわなかったが、14年目の西口は「ありえない」と苦笑した。メーングラウンドでフリー打撃中だった野手陣は一時練習の手を止め、サングラスをかけて緊急対応した。
西武が南郷にキャンプ地を張って5年目で初めての珍事。同町役場職員の鈴木俊輔さん(46)は「火山灰はたまにあるけど、ここ2、3年はなかった」という。バッグや衣類に複数の黒いシミが付着した程度で、大きな被害はなかった。だが、悲鳴を上げたのは選手ばかりではない。土日を利用して大阪から駆けつけたファンの岩本恵美さん(34=会社員)は「室内だと投球練習が見えない。昨日(土曜日)は雨、今日は火山灰でダメなんて」と、うらめしそうに空を見上げた。
渡辺監督だけは笑っていた。「おれは浅間山の火山灰をよく浴びてたからね。2、3センチぐらい積もってたこともある」と生まれ故郷の群馬で火山灰は慣れっ子だと強調。「それより、所沢の雪が心配だよ」と積雪で練習に影響が出たB班キャンプの方を心配した。まさかの火山灰と雪にたたられた新生・渡辺西武。前途多難とならなければいいが…。【柴田猛夫】
[2008年2月4日9時6分 紙面から]
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