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「動けるデブ」中田スピード見せ付ける
- 紅白戦の4回表無死、中田は三塁強襲の打球で必死に走り内野安打とする。左は投手宮西、右は三塁手小谷野(撮影・黒川智章)
怪物がしっかりと有言実行してみせた。日本ハム高校生ドラフト1巡目の中田翔内野手(18=大阪桐蔭)が14日、紅白戦に3番三塁で出場した。三塁打を含む4打数2安打と初のマルチ安打をマーク。自主トレ中に「動けるデブは最強」と話していた通り、三塁打の際には、外野手がもたつく間には巨体を揺らしながら激走した。三塁では3度の守備機会も無難にこなし、一塁手にも初挑戦。いよいよ実戦モードに突入してきた。
大きな体がちょこまかと動き回った。「動けるデブ」中田が、その言葉通り、パワーに続いて“スピード”を見せつけた。
6回の第3打席だった。星野の内角直球をフルスイング。右中間深くへ飛んだ打球を追う中堅糸井と右翼佐藤が激突し、糸井のグラブからボールが転がった。その瞬間、ギアが一段階上がる。一塁から二塁、二塁から三塁へ全力疾走。滑り込むこともなく余裕で三塁ベースに到達し、プロ入り初の三塁打となった。
4回の第2打席には三塁強襲の内野安打を放ち、初のマルチ安打を達成した。そのまま一塁走者として残ると、スレッジの一ゴロの間にスタートよく二進し初スライディングも披露。本人は「走塁? まぁまぁっす」と素っ気なかったが、梨田監督は「意外と走る能力もありますよ…。思ってた以上にね」と笑いながら合格点をつけた。
自主トレが始まった先月、「キレをつけていきたい。デブで動けたら最強だと思っています」との名言? を残した。当時100キロを超えていた体重は、現在も100キロから105キロの間をいったりきたりしている。実は今キャンプ中、朝食にはほとんど口をつけていない。球団関係者からは「どこかで何かを食べているはず」と“間食疑惑”も出るほど。現に宿舎のフロントで、ティラミスを購入する姿も目撃されている。
それでもキレを失っていないのは、フィジカル強化をしっかりとこなしているから。苦手の腹筋は手を抜いてサボる癖があるが、「やっぱりプロの練習は違う」とコンディショニングメニューやシャトルランには文句を言わずに取り組む。地道な努力が「動けるデブ」の源になっている。
走りだけではない。挑戦中の三塁では3度の守備機会をそつなくこなし、8回からは前日13日に鎌ケ谷から届いたばかりのファーストミットで初の一塁守備も経験。「高1のときにやっていたので、やりやすいかなというのはある」と振り返った。
紅白戦はこの日で終了。今後は対外試合がメーンとなる。「もっともっと自分の名前を知って欲しいと思ってるので、頑張るいい機会です」。球場を出る際には質問する報道陣を置き去りにしてバスまで全力疾走。練習中でも見せない!? 快足を披露して関係者を困らせた。力に“速さ”を兼ね備えたじゃじゃ馬のような最強のデブが、他球団をけ散らしていく。【本間翼】
[2008年2月15日8時58分 紙面から]
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