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マー君、高速クイック完成３回無失点
- 紅白戦で力投する楽天田中（撮影・野上伸悟）
楽天田中将大投手（１９）が１７日、沖縄・久米島球場で行われた紅白戦に紅組の先発として登板し、キャンプでも取り組んできた高速クイックを見せた。井野とのバッテリーで俊足ルーキー聖沢諒外野手（２２＝国学大）を２度盗塁死させるなど、上々の成果を挙げた。投球内容も３回４安打無失点３奪三振にまとめた。昨季は走られまくったが、今季は走者を塁にくぎ付けにする。
背中越しに走者を威圧した。けん制球でリードを縮めると、田中は素早いクイック投球でスタートのタイミングをつぶした。「今日はクイックが良かった。早くなった実感はあります。井野さんに２回刺してもらって良かったです」。５０メートル６秒０の俊足聖沢の盗塁を２度阻止したことに、地道な練習の成果の手応えを感じた。
弱点は飛躍的に改善されていた。昨季２８盗塁を許した田中は、投球動作開始からボールがミットに到達するまで１・３かかっていた。それでも昨季の後半戦から修正し続けると、確実にスピードアップ。「早く動くようにしただけなんですけどね」と素っ気ないが、この日は１・１秒台を連発し、１・０秒台もマーク。約０・２秒の短縮に成功した。
高速クイックを身につけた田中に、ライバルチームも目の色を変えた。昨季、対田中ではリーグ最多タイの７盗塁と足でかき回したソフトバンクだが、弱点を克服した姿に警戒心を強めた。視察した豊倉チーフスコアラーは「技術的には進歩しているね。ブルペンでもクイックで投げていたとチームに報告します」と、話した。田中は、ソフトバンクから５勝を挙げており、昨季の王監督は「マー君対策は来年にしますよ」と野村監督に宣戦布告していた。チーフスコアラーの２年ぶりの久米島入りは、警戒の表れにほかならない。
紅白戦２試合で５回無失点と本来なら十分な結果。この日の直球は最速１４８キロを記録した。だが、目指すものはさらに先にある。「制球がまだまだです。もう少し思ったところに行くようにしないと」と不満顔。野村監督からも「追い込んでから決めにいくのはいいが、力むからバランスが崩れてしまう。子供の投球だな。高校野球から脱皮してない」と期待の裏返しながら、辛口の評価が下った。２年目を迎え１つずつ課題を乗り越える男が、１カ月後の開幕に完成形を迎える。【小松正明】
［2008年2月18日9時25分 紙面から］
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