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プロ野球ドラフト会議2007
王監督が大場引き当てた/ドラフト
- ソフトバンク王監督(左)と、笑顔で握手する東洋大・大場(撮影・野上伸悟)
15年ぶりにくじ引きが復活した大学・社会人ドラフトが19日、都内のホテルで開かれ、ソフトバンク王貞治監督(67)が最大の目玉、東洋大・大場翔太投手(4年=八千代松陰)を6球団の競合の末、引き当てた。明治神宮大会で3日連続完投で日本一に導いたタフネス右腕を、交渉権獲得後に指揮官自ら電撃訪問し、13日に急逝した稲尾和久氏の後継者に指名。先発の一角としてはもちろん、西鉄のエースとして「神様、仏様、稲尾様」と称された鉄腕伝説の継承を期待した。
「鉄腕2世」にかける王監督の期待度は、行動に表れた。午後4時50分すぎ、王監督は、東京・文京区の東洋大で、大場と念願の対面を果たしていた。当日に指名あいさつに出向くのは、ホークス監督就任後、これが初。「久しぶりにドキドキしたよ。九州の人を代表してくじを引いたが、ホっとしてるよ」。ドラフト会場への入場パス、サイン入りの当たりくじをプレゼント。さらにはユニホームまで着せるサービスぶりで「まるで入団会見だな」とおどけてみせた。
教訓を生かした。抽選箱をのぞき込み、ためらうことなく右手で「当たり」をつかんだ。「単純に一番上にあったのを引いた。前回はひねって下を取って失敗した」。10月の高校生ドラフトで4球団が競合した大阪桐蔭・中田の抽選。残り2枚で下のくじを引き、日本ハムに交渉権を奪われた。巨人時代を含めた過去の抽選戦績は2勝5敗。この日は朝風呂で身を清め、午前中には都内にある故恭子夫人の墓参りに訪れた。「久しぶりだったけどね。自分でできることはやってきました」と最愛の亡き夫人に感謝した。
何より評価するのは、明治神宮大会で3日連続完投を達成し、日本一に輝いたタフネスぶりだ。「馬力のある投手。4年間、故障もしていないというし、今のうちに一番、欲しいタイプだった」。そんな鉄腕ぶりに、王監督も因縁めいたものを感じた。「稲尾さんに彼がホークスのユニホームを着て投げる姿を見てほしかった」。
西鉄ライオンズ黄金期のエースとして活躍し、13日に急逝した、稲尾和久氏(享年70)を引き合いに出した。58年の日本シリーズでは巨人に3連敗後、4連投4連勝という逆転日本一に導き「神様、仏様、稲尾様」と、称された元祖鉄腕だ。「稲尾さんの遺志は我々に受け継がれている。野球でもスタイルがある。九州では豪快さが求められるが、そのニーズに応えられるタイプ。稲尾さんが陰で支援してくれると思う」。とポスト鉄腕に指名した。稲尾氏が逝った直後に、新たな伝説を作る右腕を、王監督が引き当てた。【中村泰三】
[2007年11月20日9時46分 紙面から]
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