「やっとスタートラインに立てたので、ほっとしています。語り継がれるような投手になりたい」―。29日、東京都内で行われたプロ野球のドラフト会議。全国のファンがその行方を注目した岩手・花巻東高の菊池雄星投手(18)の交渉権は6球団が1位指名で競合し、昨年の日本一、西武が獲得した。

 春夏の甲子園大会で鮮烈な印象を残した今ドラフト最大の目玉選手だ。最初に抽選に臨んだ西武の渡辺久信監督は当たりと分かった瞬間、右手を高々と掲げ、約千人のファンに「交渉権確定」と記されたくじを披露した。席に戻って球団幹部とがっちり握手した後も、興奮とうれしさで同監督の顔は紅潮したままだった。

 目標だったプロ野球選手への切符を手にし、記者会見に臨んだ菊池投手の表情は終始晴れやかだった。大勢の報道陣を前に「これからは花巻東の菊池雄星でなく1人の人間としてスタートを切る。日本中で応援してくださる方のために投げたい」としっかりとした口調で決意を語った。日本を代表する投手に向けての第1歩。米大リーグ挑戦を封印し、日本のプロ野球を選択した時の涙はない。会見後、高校ナンバーワン左腕は一般の生徒や市民が見守る中、満面の笑みを浮かべながら何度もチームメートの手で宙に舞った。

 佐々木洋監督(34)は「まだまだ未熟なので、大きな投手にしていただきたい」と、教え子のさらなる成長を期待した。父の雄治さん(49)は「仕事をくびにならない程度に、なるべく見に行きたい」と安堵(あんど)の表情で話した。(共同)