広島は28日、清峰(長崎)のMAX152キロ右腕・今村猛投手(3年)をドラフト1位指名することをあらためて確認した。29日のドラフト会議を控え、都内でスカウト会議を行い、最高の条件も用意することになった。左腕菊池雄星投手(花巻東)を回避してまで指名する今村には、高校生NO・1右腕との評価で高卒新人としては球団史上最高額で、契約金の上限1億円も想定。運命の29日、単独1位指名を狙う。

 広島が今村どりに全力を傾ける。28日、都内でのスカウト会議に出席した松田オーナーは、1位を今村にすると確認した上で「最大限の評価?

 それくらいのつもりで考えている」と言い切った。最大限の評価、つまり契約金の上限1億円も想定しているようだ。広島の高卒新人で契約金1億円となれば、長谷川(95年1位)、河内(99年1位)以来だが、これが高卒新人の契約金球団史上最高額。つまり、今村の評価は高校生としては球団史上最高に並ぶということになる。

 事実、スカウトの評価も抜群だ。今春のセンバツ優勝右腕は、それだけの素材とみている。苑田スカウト部長は「今村くんは投手としての総合力が素晴らしく高い。ボールのスピード、キレ、コントロール。それに自分で投球の組み立てもできる。左腕は菊池、右腕なら今村。大学、社会人を含めても、この2人が左右の双へきだと思う」と激賞する。

 多くの球団が菊池の動向を注視するなか、広島は早くから今村を1位候補としてリストアップ。10月半ばまでには1位指名する方針を固めていた。この日も苑田部長は「言うまでもなく今村くんです」と改めて1位指名を明言した。

 後は単独で指名することができるかどうか。他球団が直前で菊池を回避して今村指名に乗り換える可能性もある。昨年のドラフトでは亜大・岩本を単独1位指名に成功。その際、ドラフト会議前夜に食事した飲食店を、松田オーナーは験担ぎでこの日も利用し、スカウト陣と野村新監督もまじえ、食事しながら打ち合わせを行った。

 もし指名が重複した場合は、野村監督がくじを引く。宮崎・日南の秋季キャンプから東京入りした野村監督は「前田健、斉藤と若い投手が出てきている。その中に(今村が)加わってくれればというイメージはわく。いいドラフトにできれば」と期待を込めた。29日、新生野村カープの1番星が決まる。【高垣誠】