プロ野球ドラフト会議で広島に4位指名された常葉学園橘の庄司隼人選手(3年)が30日、同校で松本有史東海地区担当スカウト(32)尾形佳紀スカウト(31)の指名あいさつを受けた。「広島4位」は金本知憲(現阪神)らを輩出した“出世枠”で、「二塁手」「遊撃手」として期待された。

 庄司は目で、入団の意思を表した。運命の日から一夜明けた午後1時20分にスカウト2人と対面。その席上でずっと、2人の目を見つめ続けた。「赤色が大好きなので(広島の指名は)メチャクチャうれしかった。『頑張ります』と、ずっと目でアピールしていました。もう離さなかったです」。夢がかない、まだ興奮さめやらぬ様子で話した。

 ドラフト4位。実は広島にとって「こだわりの枠」だった。通算打率3割を誇る前田智徳や、庄司と同じ右投げ左打ちとして歴代最多本塁打(442本)の金本知憲ら好選手を輩出し、WBC日本代表の石原慶幸捕手も育った枠。松本スカウトは「社長がこだわられて、順位は下位だが、広島では出世する、伸びる順位なんです」と明かした。その験の良い枠のお眼鏡にかなったのが、庄司だった。

 そんな期待を掛けられたドラフトでは、最速148キロを誇る投手ではなく、野手で選ばれた。広島の野村謙二郎監督が打撃映像を見て「ボールまで最先端でバットが出ている」とリストの柔らかさを評価。この日の席でも「二塁手、遊撃手として」とあらためて期待された。だが、その説明を受ける前に、庄司はすでに受け止めていた。この日午前の練習で内野手としてノックを受け「位置はどこでも良い。可能性を広げていきたい」と言い切った。

 昨夜は電話が二十数件、祝福メールは89通届いた。広島2位で、野手としてライバルになる堂林翔太選手(中京大中京)からも送られてきた。入団発表は12月16日。「ケガはしないように。でも、気を抜かず、しっかりと練習していきたい」とプロ選手としての自覚を胸にした。【今村健人】