伊予ゴジあらため伊予ビッシュ!

 阪神がドラフト4位で指名した西条・秋山拓巳投手(18)が2日、愛媛県西条市内の同校で指名あいさつを受けた。投げては150キロ、打っては高校通算48本塁打の怪童は、プロでは投手一本で勝負することを宣言した。「伊予のゴジラ」と異名をとった打撃に別れを告げ、同じ高卒から大エースに成長した日本ハムのダルビッシュを手本にしてスタートを切る。

 バットに未練はない。秋山は、指名あいさつの席で山本スカウトに自分の希望をはっきり伝えた。「右の先発として頑張りたいのでよろしくお願いします」。186センチ、92キロの恵まれた肉体はマウンドで輝かせる。プロの世界では投手一本で勝負することを決めた。

 打者としての資質も高かった。エースで4番として甲子園に春夏連続出場。通算48本塁打のパワーも注目され「伊予のゴジラ」という異名もついた。だが「自分は打撃に自信を持っていない。(投手として)チームで貢献できる打撃ができればいい」ときっぱり。そしてこの日「先発投手」という言葉は10回以上も口にした。

 あこがれの存在がある。同じ18歳でプロ入りして最高峰のエースとなったダルビッシュだ。前日1日の日本シリーズ巨人戦もテレビで観戦して胸を熱くした。42日ぶりの強行先発で勝った姿に「(いつもと)フォームが違っていたにもかかわらず、相手を打ち取っていて、すごいと思った。活躍されているのであこがれています」。スーパーエースの姿が「四国の怪童」をマウンドへと駆り立てる。

 バットと一緒に、涙とも別れを告げた。10月29日ドラフト会議当日は4位指名に涙した。「当日は同じ高校生が上位で指名されていた」。西武1位菊池(花巻東)広島1位今村(清峰)ら甲子園のライバルが先に名前を呼ばれ、悔しかった。しかしこの日は「いろんな人に期待されて、おめでとうと言われた。落ち着いて頑張ろうと思った」。

 山本スカウトは、秋山について「ピッチャーです。2、3年の早い段階でローテーションに入ってほしい」と期待した。武器は150キロの剛球と、18歳で138キロを計測する高速カットボール。「小さいころからあこがれのプロ野球。ローテに入って長い野球人生を送りたい」と秋山。剛球右腕が「伊予ビッシュ」を目指して、始動する。