西武ドラフト1位の花巻東・菊池雄星投手(18)が、抜群の吸収力でプロ仕様に変身する。15日、岩手の雫石プリンスホテルで、西武スカウト陣から指名あいさつを受けた。古巣復帰が決まった工藤公康投手(46)の考え方に影響を受け、夏場から4~5キロを増量して肉体改造。変化球対策として、渡辺監督流のフォーク習得を開始するなど、課題克服にも着手した。今週末にも入団交渉を行う黄金左腕が、心も体もプロへと成長しつつある。

 菊池は抜かりなく、プロ入りの準備を進めていた。会見に臨んだ姿は、以前より制服のサイズがきつそうだった。今後の課題を「体は成長過程だし、プロの投手と比べても体ができていない。キャンプまでしっかり体づくりしていきたいです」と語り、プロで通用するための肉体改造に着手。ドラフト後も走り込み、プールトレーニングなどで体をいじめ抜いている。

 岩手・雫石プリンスホテルで取材対応を終えた後の昼食に同席した西武鈴木編成部部長が、菊池の変身ぶりに驚いた。「9月の国体の時より体重が4、5キロ増えていた。1回の食事で2、3杯だったごはんが、5、6杯食べられるようになったと言ってた。今日もステーキをおかわりしてたよ」と目を丸くした。そこでは地元名物の短角牛ステーキ(1皿2枚=135グラム)を1皿追加し、計270グラムをペロリ。あきたこまちの白米も大盛り3皿をたいらげ、たくましさを見せつけた。

 食事面や練習法で参考にしているのが、尊敬する工藤の存在だ。西武入りが決まった話題になると目を輝かせ「ご縁があって工藤さんとやらせていただくことになり、一緒に練習したり、質問できるのがうれしい。野球に対する考え方、練習に取り組む姿勢がすばらしい。能力だけじゃ衰えるときがくる。トレーニング、体のケアをしっかりしてるから46歳までやられてると思う。食事に関しても徹底してるし、すべてにおいて学ぶべきものがあります」。数冊の著書を読んで知識を吸収しただけでなく、同じ時間を共有できることに胸を躍らせた。

 渡辺監督の“アドバイス”も実践している。「変化球を覚えて欲しい」という要望を受け「監督が寝るときにフォークの握りでボールを指にはさんでいたという新聞の記事があったので、同じようにやっています」と挑戦。同監督は指とボールをひもで固定したままベッドに入ったという。菊池も感じたことのない指の痛みを覚えながら、練習のキャッチボールでフォーク、チェンジアップなどを試し、新たな武器を身に付けようとしている。

 影響を受けるばかりでなく「やるのは自分自身なので、頼ることなくやっていきたい」と、地に足もつけている。17番が有力視される背番号について質問が及んでも「番号の希望はありません。背番号で野球をやるわけじゃないので」という大人びた一面も。意識の高さはすでにプロ並みで、少年の笑顔には大物ルーキーの風格も漂っていた。【柴田猛夫】