今夏甲子園準V右腕の東海大相模・一二三(ひふみ)慎太投手(3年)が、甲子園に帰ってくる。「プロ野球ドラフト会議

 supported

 by

 TOSHIBA」が28日、都内のホテルで開催され、阪神から2位指名を受けた。サイドスローから最速150キロの直球を投げ込む速球派右腕は、野手でなく、投手としてプロ生活に踏み出す。阪神は1位指名した早大・大石の抽選に外れたが、外れ1位で東京ガスの左腕・榎田大樹投手(24=福岡大)を単独指名。来季V奪回、そして長期的なチームづくりへ、バランスのよい新人補強に成功した。

 この日学校の中間試験を受けたばかりの一二三は、阪神の2位指名を聞き、しっかりとした足取りで会見場に現れた。少し顔をこわばらせ、一点を見つめたまま「指名していただいて、大変うれしく思います」と率直に喜びを表した。

 指名の瞬間は、寮に隣接する門馬敬治監督(40)の自宅で迎えた。地上波のテレビ中継が終わっていたため、インターネット速報で結果を知った。いち早く中尾スカウトからも、電話で指名の一報が入った。大阪・堺市出身。入団すれば地元凱旋(がいせん)となる阪神について「ファンの声援が熱狂的。すばらしい甲子園で野球ができるのはすごい」と、黄色く染まる球場に思いをはせた。

 184センチ、86キロの体格から、最速150キロの直球を投げる速球派右腕。今春のセンバツ初戦敗退を機にスランプに陥り、上手投げからサイドスローに転向した。再起した今夏の甲子園では、21打数12安打(1本塁打)で打率5割7分をマーク。投打の活躍で準優勝まで駆け上がった。打者としても高く評価される中「投手としてのこだわりはもちろんありますし、できれば投手で勝負したい」と、緊張で乾いた唇をなめながらしっかり希望を伝えた。

 阪神では今年、高卒1年目の秋山が4勝を挙げた。上手投げに戻すか横手のままかは、まだ模索中だが「自分も秋山投手のような投球をして、活躍したい」。同野球部OBで、先輩と慕う巨人大田とも、打者として対峙(たいじ)することがあるかもしれない。同校と同じタテジマのユニホームに身を包み、再び甲子園で躍動する姿を思い描いた。

 9月末の国体で引退した後も、ジム通いで体を鍛えてきた。これからは野球部の練習にも参加するという。「真弓監督には、ありがとうございますという気持ちしかありません。あこがれでプロに入るんじゃない。入る以上は一生懸命プレーして、結果を残せる選手になりたいです」。今後は、すでに合格通知を受けた東海大側に話を通し、入団するかどうかを決断するが、プロ入りに支障はない見込み。夏の甲子園で日本中をわかせた剛腕が、舞台をプロに移し、再び聖地を熱くする。