日本ハムからドラフト1位指名を受けた早大・斎藤佑樹投手(22=早実)が、プロでは“飛び級”スタートを切ることになる。ドラフト会議から一夜明けた29日、秋季キャンプのために沖縄入りした梨田昌孝監督(57)は早くも「先発専念&非ルーキー扱い」の特例方針を打ち出した。高校、大学時代の輝かしい実績を加味し、1年目の春季キャンプから、先輩投手たちとまったく同じ土俵で先発枠を競い合う。

 用意されるスタートラインは、並の新人とは違った。30日の東京6大学早慶戦(神宮)に備え、東京・東伏見のグラウンドで約2時間の練習を行った斎藤。この日も言葉を発することはなかったが、一方で梨田監督の言葉からは、期待の大きさがあふれ出ていた。「ルーキーとして扱うつもりはない。6大学で30勝と300奪三振をしている投手。彼はしっかりしているし、技術的に言うつもりもまったくないです」。すでに帯同を示唆している来春の1軍キャンプでは、ダルビッシュら先輩投手と同じように、調整を本人に任せることになりそうだ。

 特例といっていい。通常、新人には担当コーチがメニューを組み、プロ選手としての基礎をたたき込んでいく。高卒と大卒の違いこそあるが、3年前に鳴り物入りで入団した中田にも個別の練習メニューが用意され、それをこなすことで成長していった。だが梨田監督は「(早大で)キャプテンとして苦労してきたこともあるだろうし、頭の柔軟性もある。練習法も分かっていると思う」と、精神面も高く評価しており、“放任”するつもりでいる。

 期待の大きさは、明言した起用法にも表れている。「スピードがそこまでなくても、打者が150キロ近くに感じるコツを知っている。変化球を低めに集めることもできるし、ピッチングがうまい」と投球術を絶賛。その上で「当然、先発をさせたい」。早大での立場と同じく、スターターとして試合を任せたい意向を明かした。

 ダルビッシュ、今季14勝の武田勝に加え、ケッペル、ウルフの外国人投手が先発ローテに名を連ねる日本ハム。梨田監督は「あとはそこ(残りの先発枠)を競い合う。増井は(今季途中に故障した)肩の状態もあるけど糸数も八木も中村勝もいる。(斎藤は)その中に加わってくる」。指揮官に「新人」という感覚は一切ない。斎藤は第1歩から、“一人前”としてプロ野球人生をスタートさせる。【本間翼】