中日ドラフト3位のホンダ・武藤祐太投手(21=飯能南)が13日、埼玉県狭山市内の合宿所で、契約金6500万円、年俸1200万円(金額は推定)で仮契約を結んだ。武藤はホンダの先輩である巨人長野との対戦を熱望。即戦力として1軍定着し、1年目から真っ向勝負を挑む。

 緊張気味だった顔が、すぐにキリッとした表情に変わった。対戦したい打者を聞かれると、武藤は迷わず、昨年まで2年間、ホンダで同じユニホームに袖を通した巨人の新人王候補の名前を挙げた。「長野さんですね」。

 中日から指名を受けた夜、長野から「おめでとう」と、電話をもらい、冗談めかしてお願いされた。「やった時は打たせてね」。武藤は何も答えなかったという。先輩に対してもひるまない。これからプロの世界でやっていくんだという自信の表れでもあった。「思い切って投げられそうだなと思った。1年目から対戦できればいいです」。

 ホンダ時代の対戦は昨春の紅白戦での1打席のみ。スライダーを中前に運ばれ「ちゃんと当てられたのを覚えている」と、悔しがる。昨年までは社会人の頂点を目指した仲間だが、宿敵巨人の一員となれば話は別。今季128試合に出場し、打率2割8分8厘、19本と結果を残した先輩に対しても、真っ向勝負を挑むつもりだ。

 プロの世界で目指すのは「この人が投げれば勝てるという投手」。12球団随一の層の厚さを誇る投手王国で、絶対的なエースの座までのし上がる心意気だ。

 「やるだけです。プロの世界に入ってからが勝負なんで、プロ野球選手になったことで満足しないようにしたい」。目標は新人王。武藤は即戦力の期待を背負い、プロの世界の扉をこじ開ける。【福岡吉央】