楽天の新入団選手が8日、仙台市の「泉犬鷲寮」に入寮した。ドラフト3位阿部俊人内野手(22=東北福祉大)は、大学全日本の正遊撃手。全日本メンバー全員の直筆サインが入ったジャパンのユニホームを持ち込んできた。「部屋の壁に飾ります。大石、斎藤。注目されていることが、自分の中では正直悔しい。絶対に負けたくない」と、包み隠さず負けん気を出した。

 ドン・キホーテで購入した愛用の布団とともに、1枚の半袖シャツをおもむろに開いた。斎藤佑樹、大石達也、沢村拓一、伊志嶺翔大…。各球団のドラフト1位をはじめ、そうそうたる名前でビッシリ埋まっていた。「ジャパンの試合が終わった後、みんなで書いたのです。同世代はみんなライバル。これを見て奮い立たせて、勝てるよう頑張ります」。阿部俊人の名前だって、ど真ん中、応武監督(前早大監督)の真上にある。「88年世代」同期に負ける気など毛頭ない。

 ターゲットは決まっている。西武大石だ。08年明治神宮大会で、1度だけ実現した直接対決では、空振り三振を喫した。「強い真っすぐを、コースにどんと投げてきた。直球を意識すると変化球。すべて力負けだった」と回顧し実力を潔く認めた。「体をしっかりつくってもう1度勝負する。負けず嫌いなんです。気持ちは固まった。開幕1軍」。6畳に満たない犬鷲寮の一室で思いをたぎらせる。競争を勝ち抜いて公式戦で再会し、剛球を打ち砕く。【宮下敬至】