甲子園でエースになるで!

 阪神からドラフト2位指名を受けた聖光学院・歳内宏明投手(18)が1日、福島・伊達市内の同校で指名あいさつを受けた。昨夏と今夏の甲子園を沸かせた145キロ右腕は、近隣の兵庫・尼崎市生まれで少年時代は桧山のファン。「開幕1軍」を目標に掲げ、エースになる決意を示した。

 聖光学院のエースとして甲子園の土を踏んだ歳内が、虎のエースを目指す。「エースになれ!」。ドラフト会場に参加した阪神関係者のIDパスに和田監督がしたためた熱いメッセージを、しっかりと胸に刻んだ。

 歳内

 もちろんチームの中で中心の選手になるのが目標です。最終的なこと(目標)は考えてないですけど、開幕1軍です。1軍のマウンドで投げていくのが目標です。

 会見場で真っすぐに前を見つめ、ハキハキした口調で誓いを立てた。プロの世界へ飛び込む18歳は、理想のエース像を思い描いていた。

 歳内

 やっぱり毎年毎年、勝利の数が多い人です。ダルさん、田中さん、杉内さんとか、毎年毎年結果を残している人がエースだと思います。

 かつて甲子園を沸かせ、プロでもエースとして君臨するスーパースターの背中を追いかける。歳内は昨夏に甲子園初出場。2年生エースとしてチームを準々決勝に導いた。今夏は東日本大震災で被災した福島県民の思いを胸に戦った。2回戦金沢戦で敗れたが、2戦30Kの奪三振ショーを演じ、強烈な印象を残した。

 兵庫・尼崎市生まれ。高校野球観戦に何度も聖地へ足を運んだ。小園小2年の時に初めてプロ野球を観戦したのも甲子園での伝統の一戦だった。甲子園のお膝元で育った歳内は、打者桧山にあこがれていたという。

 歳内

 4番を打っていて(03年にリーグ)優勝した時にサイクルヒット打ってかっこよかったので。

 自分が生まれる前から虎戦士として活躍する代打の神様と同じタテジマに、袖を通す。斎藤智也監督(48)は「プロで結果を出すための練習をしていて、自覚を強く感じる。夏場よりワンランク上がっている」と目を細める。持ち球の魔球スプリットにも、さらに磨きをかける。

 歳内

 とにかく早く戦力になりたいです。甲子園よりレベルアップしてキャンプに臨めるように練習をやっていきたいです。

 東北のドクターKが2度の甲子園出場でならした“庭”で、スターダムを駆け上がる。【岡本亜貴子】<歳内宏明アラカルト>

 ◆生まれ

 1993年(平5)7月19日、兵庫・尼崎市。

 ◆球歴

 小園小3年の時に、軟式の「猪名川エンジェルス」で投手として野球を始める。小園中では「宝塚ボーイズ」で全国大会に出場。聖光学院では1年秋からベンチ入り。甲子園は2年夏8強。3年夏は2回戦敗退。

 ◆変化球

 スプリット、スライダー、カーブ。

 ◆趣味

 ビリヤード。「中1から中2ぐらいに始めた。そんなにうまくないと思うけど好き」。

 ◆好きな言葉

 気。「いろんな言葉に使われているし、精神的に大切になってくるので」。

 ◆家族

 両親、弟、妹。

 ◆データ

 遠投115メートル、50メートル6秒5。

 ◆サイズ

 183センチ、85キロ。右投げ右打ち。