控え投手の希望の星だ!!

 プロ野球ドラフト会議で西武から4位で指名された加藤学園出身の西濃運輸・高橋朋己投手(23=岐阜聖徳学園大)が10月31日、岐阜・大垣市の同社で奥薗満編成部部長、高木浩之スカウトから指名あいさつを受けた。高3の夏は背番号3で救援だった左腕が、大学、社会人で成長しプロの門をたたく。球児に向けては、諦めないことの重要性を強調した。

 高橋は加藤学園からは初めて、岐阜聖徳学園大からは3人目のプロ入りを果たす。西濃運輸2年目の今季も9月に左肩を痛めるなど、順調な道のりではなかった。指名あいさつ後の会見では「こういう肩の状態で指名していただいてうれしい」と笑顔。地味なキャリアは多くの球児の励みとなるだけに、エールを求められると「諦めずに野球をやればいいことがある」と、努力の成果を強調した。

 小学2年時に中郷ファイターズで野球を始めた時は野手。中郷西中時代に所属した硬式の三島田方リトルシニアで投手になったが「3軍でした」。高校でも故障などもありエースにはなれず。直球の最速も129キロと平凡だった左腕だったが、3年の夏が終わった後に伸び始めた。

 大学に向けて練習に参加すると、当時の大須賀健監督(54=現加藤学園暁秀中高教)から暖房用のまき割りを命じられた。2~3時間の作業をほぼ毎日。いつしか筋力アップを実感した。大須賀さんは「ポイントが一定でないと割れないでしょう。ピッチングと一緒です。腹筋、背筋も弱かったので」と、技術、体力両面での投手力向上策だったと明かした。

 大学のオープン戦から直球で三振が奪えるようになり、1年春のリーグ戦から出番をつかむと135キロを計時。その後、秋には139キロ、2年春には145キロと、眠っていた才能は148キロにまで伸びた。この日、高木スカウトも「全国でもお目にかかれない、魅力ある直球」と絶賛。渡辺久信監督(47)のサイン色紙などを渡し、即戦力として期待した。

 西濃運輸は6日に日本選手権の初戦を迎えるが、高橋は肩の回復を優先するため登板しない予定だ。プロで活躍するための支援に感謝。「今年中に治して、早く1軍で投げたい」と、マウンドで恩返しするつもりだ。【石原正二郎】

 ◆高橋朋己(たかはし・ともみ)1988年(昭63)11月16日、三島市生まれ。中郷小2年から野球を始める。加藤学園では2年で背番号1を背負ったが、3年は主に一塁手。最後の夏は県3回戦で星陵に5回コールド負け。岐阜聖徳学園大を経て西濃運輸へ。今年の都市対抗では、王子製紙の補強選手として出場。173センチ、82キロ。左投げ左打ち。家族は母と姉2人。血液型B。