阿部も谷繁も超えて、日本一の捕手になる！
阪神ドラフト４位の西濃運輸・小豆畑（あずはた）真也捕手（２４＝中部学院大）が１０月３１日、岐阜・大垣市内の同社で木戸ＧＭ補佐、佐野統括スカウトらの指名あいさつを受けた。入団前から球界最高峰を誇る二塁送球タイムを武器に、狙うはゴールデングラブ賞から日本一の捕手。でっかい夢をバズーカ砲で打ち抜く。
小豆畑は力を込めて、ためらうことなく目標を口にした。「日本一のキャッチャーになりたいです」。ドラフト４位指名だが、球団の評価は即戦力捕手。狙うはゴールデングラブ賞だ。ルーキー捕手の受賞ならヤクルト古田以来、球界でも２人目の快挙となる。
指揮官の与えた使命でもある。和田監督はドラフト会場への入場パスに「扇の要
ゴールデングラブ捕手になれ」というメッセージをしたため、関係者を通じてプレゼントした。受け取った小豆畑は表情を引き締め、口を開いた。
「やってやろうという気持ちもありますし、一番得意としている部分を評価していただいているんだという事実を受け止めまして、大変ありがたいなと思っております」
丁寧な語り口とは対照的に、目の奥はめらめらと燃えている。ルーキーの目標は正捕手や１軍定着にとどまらない。巨人阿部、中日谷繁ら実力を兼ね備える名捕手を超える野望を持つ。「日本一のキャッチャーになりたいと思っています」。気後れすることなく堂々と宣言した。
ただの大言ではない。プロ入り前から阿部をも超える武器を携えている。その最強の得意技こそ、スローイング。北村スカウトによれば、小豆畑の二塁送球タイムは最速１・７８秒でコンスタントに１・８秒台。今季のプロ野球捕手のタイムと比べても、最も速いレベルに属する。北村スカウトが「見たなかで一番速いです。他にいない。ほれぼれしますよ」とうなずく強肩で盗塁を阻止する。
小豆畑の意識は、タイムより実戦にある。「平均して毎回速いタイムを出す、いいタッチボール、そういう実戦向きの送球が出来るように、心に決めてやってきました」。城島が引退し、ベテラン藤井彰と小宮山、今成らの若手が正捕手を争うチーム状況には、ルーキーが割って入るチャンスも十分にある。唯一無二の強肩を武器に、小豆畑が一気に駆け上る。【池本泰尚】
＜小豆畑真也（あずはた・しんや）アラカルト＞
▼生まれ
１９８８年（昭６３）７月２２日、岐阜県生まれ。小３からスポーツ少年団で投手として野球を始める。中学ではボーイズリーグで捕手。長良高で１年秋からレギュラーも、２年夏、３年夏は１回戦敗退。
▼趣味
ＤＶＤ鑑賞。ドラマ、映画も好き。最近見たＧＴＯは「久しぶりに全部録画して見た」
▼小豆
赤飯は食べるが、ぜんざいはよけて食べてる。「名字ほどそんなには食べない。これを機になるべく食べるようにしていきたい。大豆はあれば食べる。好きなのはラーメン」
▼座右の銘
鍛錬千日、勝負一瞬。「自分を支える上で大きな言葉」
▼愛読書
野村克也氏の本をバイブルとして読み、参考にしている。
▼家族
父、母、姉、弟、祖父、祖母。父は犬山成田山の僧侶。
▼サイズ
１８１センチ、８３キロ。右投げ、右打ち。
◆二塁送球タイム
捕手が投球を捕ってから二塁ベースの野手に送球が届くまでの時間。プロでは２秒を切るかどうかが盗塁を阻止する目安となる。スポーツライター小関順二氏が調べた今季の実戦での送球タイムではオリックス斎藤の１・７９秒（６月２４日）が最速レベル。西武の炭谷と星孝がコンスタントに１・９秒台を出し、ほかに２秒を切ったのは日本ハム大野、巨人阿部、広島倉ら。イニング間、投球練習からの二塁送球は実戦よりタイムがいい傾向があり、ヤクルト中村、楽天小山、ＤｅＮＡ鶴岡らが好タイムを出す。
過去にはヤクルト古田が全盛期の９７年に１・９３秒、西武伊東が同年に１・９４秒といわれていた。投手のクイック投法からの投球は１・２７秒かかり野手のタッチは０・２０秒とされる。盗塁王レベルの走者の二塁盗塁はスタートから３・４０秒程度で、小豆畑の１・７８秒の送球ならアウトにするのに０・１５秒の余裕がある。
◆阪神捕手のゴールデングラブ賞
７３年田淵から１０年城島まで、５人の捕手が計７度獲得している。プロ入り後最速は８５年木戸の３年目。７２年の制定（当時はダイヤモンドグラブ賞）以後、セパ両リーグで獲得した捕手は３０人。新人の選出は９０年ヤクルト古田敦也１人で、小豆畑が選ばれれば球団初となる。
