「虎のダル」が日の丸を背負う!

 阪神は4球団競合のドラフト1位で交渉権を獲得した大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(18)と15日、大阪市内で入団交渉を行い、高卒新人では球団史上最高額の契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1500万円(推定)で仮契約を結んだ。目標とする元日本ハム・ダルビッシュの背中を追い、将来の日本代表入りを夢見た。

 仮契約を結んだ藤浪は、唇をギュッとかみながら会見場に現れた。緊張の表情を崩さず、言葉を選びながら慎重に、しかしすらすらと話した。佐野統括スカウト(61)に阪神の帽子をかぶせてもらうと、ようやくこわばっていた表情が崩れ、笑みがこぼれた。

 晴れて「阪神・藤浪」を名乗ることになった日。「ジャパンに入りたいとかは、今のところは全然思っていないですけど」と前置きをしながら口にしたのは日本代表への思いだ。

 藤浪

 日本を代表する選手になるということは、そういう舞台に選ばれて、国民の方にも評価されること。一流の選手になるために、そういうところに行ければと思います。

 藤浪は中3の夏に初めて16歳以下の日本代表に選ばれた。大阪桐蔭でも春夏連覇を達成して高校生日本代表に選ばれ、18U世界選手権に出場。「文化も違えば、プレースタイルも違う。かなり強烈な印象を受けました」。これまでも日の丸のユニホームには袖を通してきたが、プロに入ってもWBC日本代表入りが視界の先にある。

 09年の前回大会では、尊敬する投手として挙げている元日本ハム・ダルビッシュが活躍し、日本の大会2連覇の原動力となっていた。中学2年生の藤浪はテレビで観戦。「そういうところに出る選手の方々はすごい方ばかり。1つ1つのプレーが勉強になる。深く考えて見ていたわけではないですが、すごいな、と思って見ていました」と目を輝かせた。

 この日提示されたのは、高卒新人では球団史上最高額の契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1500万円。上限いっぱいの提示額は、くしくも04年に日本ハムに入団したダルビッシュと同じスタートラインだ。自身も長身の外見とその実力から、「浪速のダルビッシュ」の異名を取った縁もある。藤浪は「そういう日本を代表する方々を目標にやっていきたいです」とあらためて、憧れの存在に思いをはせた。

 日本一、沢村賞、侍JAPAN…。誕生したばかりの「虎のダルビッシュ」が、本家ダルの背中を追い、大きな夢に向かい歩み出した。【山本大地】

 ◆高卒の最高条件

 高卒入団で契約金1億円、年俸1500万円の選手は、01年寺原(ダイエー)04年ダルビッシュ(日本ハム)06年田中(楽天)07年中田(日本ハム)由規(ヤクルト)09年菊池(西武)に続いて7人目で、阪神では初めて。これまでは97年1位中谷らが契約金1億円。年俸では05年高校生1巡目鶴、07年同1巡目高浜の840万円が最高だった。98年松坂(西武)は契約金が1億円で、年俸が当時上限の1300万円だった。