プロ野球ドラフト会議が今日24日午後5時から、都内で行われる。静岡県内では高校生3人、大学生2人がプロ志望届を提出。中でも聖隷クリストファー・鈴木翔太投手(3年)の評価は高く、上位指名の可能性もある。運命の日を翌日に控えた23日、マウンドでは味わったことのない心境を語った。

 数々の快投を見せてきた143キロ右腕も、人の子だった。ドラフト前日の思いを聞かれた鈴木翔は「今週になって緊張してきた。野球では1回も緊張したことないのに」と、照れ笑いを浮かべた。13日から約1週間は、神経性の腸炎に悩まされたという。「周りが期待してくれていて、指名されなかったらどうしようと思って」。無意識に重圧を感じているようだ。

 もっとも、その不安は取り越し苦労に終わる可能性が高い。11球団から調査書が届いており「将来、日本を背負う可能性を秘めている、と言ってくれた球団もありました」という。甲子園には縁がなかったものの、その才能は広く知れ渡っている。鈴木翔も「何かあったら1位もあるかな」と言及。抽選などの展開による外れ1位もこっそり期待している。

 心構えも十分だ。3、4年目からの先発ローテ入りを目指し「1、2年目は地道に頑張らなきゃと思っている」。小雨交じりだったこの日は、軽めに動いて練習を切り上げ、運命の日に備えた。「けがをしても嫌なので。今日の体育のバスケも心配だった」と語る表情には、夢の舞台への覚悟がにじんでいた。

 初のプロ野球選手誕生に向けて、学校も慌ただしくなってきた。この日は鈴木翔の取材以外にも、テレビ局が翌日の放送に備えて最終チェックに訪問。指名の順位次第では、夕方のニュースで歓喜の様子が生中継される。鈴木翔は「映りたいですね」と意欲も見せる。静岡の球界を盛り上げてきた18歳の進路が、いよいよ決まる。【石原正二郎】

 ◆鈴木翔太(すずき・しょうた)1995年(平7)6月16日、浜松市生まれ。小学1年で浜北スモールジャイアンツに入り野球を始め、5年から投手。北浜東部中時代は浜松シニアでプレーし、3年時に日刊スポーツ杯県夏季大会準優勝。聖隷クリストファーでは1年夏から登板し、昨夏は過去最高の4強に貢献した。183センチ、74キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟。血液型O。

 ◆聖隷クリストファー

 1966年(昭41)に女子校の聖隷学園衛生看護科として創立された私立校。74年から普通科への移行が始まり共学となる。01年から現校名に。09年から中学も新設。部活動では、男子バレーボール部が県大会優勝の常連。生徒数761人(うち女子446人)。山下峰雄校長。所在地は浜松市北区三方原町3453。