プロ野球ドラフト会議が今日24日午後5時から、都内で行われる。19歳となった菊川南陵の大田圭利伊(3年)は、1年のブランクをものともせず吉報を待つ。大阪・興国を中退し再入学したため昨年夏で現役は終了。その後は野球への思いも揺らいだが、周囲の勧めもありプロへの道を歩いてきた。

 大田は揺れ動いたこの1年を振り返った。昨年7月22日の4回戦で浜松工にサヨナラ負け。涙に暮れた。

 大田

 野球はやらないと思っていた。目標が分からなくなってしまって…。

 2年だったが高野連規定により現役は終了。その後も練習に参加したが気持ちは戻らなかったという。「(社会人野球の)日本生命の練習にも参加したりごろごろしたり。英語がしゃべれないので語学留学しようとも思っていた」。

 昨秋に野球をやめる意志を固め周囲に伝えた。だが、能力を信じる吉田祥三総監督からも翻意を促された。「留学するにしても金銭的にもすぐには難しいと言われました」。母・いつさんからも野球を続けることを求められた。

 もともとプロに対しては「縁があるとは思っていなかった」という。そんな時でも、スカウトが動画撮影に訪れるなど徐々に、再び野球への道が広がっていった。

 9月に広島、日本ハムのテストを受験。100人以上が参加し「高校生は6人くらい。社会人の人が多くてちょっとびびった」と話す。それでも最終試験まで残った。牧野剛史監督は「最終試験まで残っているし、引っかかってくれれば。走れるし面白い存在だと思う」と話した。

 プロ志望届を提出し実感がわいてきた。ここまでの道のりは、仲間の支えに感謝している。「応援してくれたり、引退した3年も練習につきあってくれたり」。きょう24日夕方には、この1年が締めくくられる。「結果はどうであれ、『ありがとう』と伝えたい」。大田は落ち着いた笑顔を見せていた。【加納慎也】

 ◆大田圭利伊(おおた・けりい)1994年(平6)9月14日、神戸市生まれ。六甲小3年で野球を始め長峰中では兵庫ミラクルボーイズでプレー。大阪・興国に入学も1年時に中退し菊川南陵に再入学。50メートル走は6秒2、高校通算29本塁打。190センチ、96キロ。