<社会人野球日本選手権:七十七銀行7-2四国銀行>◇1回戦◇10月31日◇京セラドーム大阪

 楽天からドラフト7位指名を受けた七十七銀行(東北・宮城)の左腕相原和友(24=東北福祉大)が、社会人として全国大会3勝目を挙げた。四国銀行(四国・高知)との銀行対決に先発し、7回を7安打7奪三振2失点。エースの安定した投球でチームは快勝し、昨年に続く8強を目指して4日の2回戦で三菱重工神戸(近畿・兵庫)と対戦する。

 感激のドラフト指名から7日目。相原が冷静にエースの責任を果たした。1回表に1点を先制してもらいながら、その裏に2安打を許して追いつかれた。しかし、そこから踏ん張った。2回から4イニングは1安打ピッチング。相手に流れをわたすことなく、5回5点のビッグイニングにつなげた。7回に2点目を失い、この回限りで降板した左腕は「ちょっと力が入ったところもありましたが、低めを丁寧に突いて、たまに三振も取れた。でも(7奪三振は)出来過ぎですね」と、持ち味の打たせて取る投球を振り返った。

 ドラフト指名選手の気負いはなかった。だが、まだ社会人2年目。上野尚文監督(43)は「多少なりとも力は入っていたと思う」とエースの心情を思いやった。自己最速141キロは東北福祉大時代のもの。当時、変化球はスライダーだけだったが、社会人になってチェンジアップ、シンカー、カットボールと球種を増やした。「球種を投げ分けて打ち取ることが楽しい」と技巧派左腕の道を選択したことが、プロの夢の実現につながった。

 24日のドラフト当日は、関東遠征から急きょ仙台市に戻って晴れの会見に臨み、喜びに浸る間もなく25日早朝に遠征先にとんぼ返りした。大会開幕前日の27日に24歳の誕生日も迎えた。だが、祝宴は大会後だ。9日に会社で開かれた壮行会では「宮城を盛り上げるのは楽天だけじゃない。自分たちも頑張ろう」と地元企業チームの心意気を確かめ合った。昨年の2回戦、今年の都市対抗に続く全国3勝目にも「ベスト8といわず、上がれるところまで上がりたい。育てていただいたチームに恩返ししたい」。まだ指名あいさつも受けていないが、来年は楽天の一員として立つに違いない京セラドーム大阪のマウンドで白星を積み上げる。【佐々木雄高】

 ◆相原和友(あいはら・かずとも)1989年(平元)10月27日、仙台市泉区生まれ。栗生小4年からスポーツ少年団で野球を始める。広瀬中では軟式野球部に所属。東陵高では1年春からベンチ入り。3年春に背番号1で県大会優勝。東北福祉大では仙台6大学リーグで3勝を挙げ、4年時に全日本大学選手権、明治神宮大会出場。七十七銀行1年目の昨年は都市対抗で先発。今年は日本製紙石巻の補強選手で都市対抗初勝利を挙げた。家族は両親、妹。左投げ左打ち。186センチ、72キロ。血液型B。