原監督、優勝したら焼きそばパーティーせんといけんねぇ~。16日、巨人のドラフト3位、新庄・田口麗斗(かずと)投手(18)が広島市内のホテルで仮契約を結んだ。契約金5000万円、年俸600万円(金額は推定)で背番号は90。小学4年生のころの作文に「巨人に入って優勝して原監督を焼きそばパーティーに招待したい」と記した。“壮大な夢”を実現すべく、活躍を誓った。

 170センチの小さな体に、ソースのように濃厚な夢を背負った。

 田口

 小4のころに絵作文を書きました。「巨人に入って優勝して原監督を焼きそばパーティーに招待したい」。僕が打って、焼きそばを作って、原監督に食べてもらう絵も描きました。もし、巨人で活躍できたら、原監督に焼きそばを食べてもらいたい。そうすれば成長の証しを見せられる。

 優勝といえばビールかけ。だが田口の夢は優勝に焼きそばと、ピュアそのものだ。隣席した山下スカウト部長も「そういう夢は初めて知った。正夢になってくれれば」と優しく笑った。

 一級品のスライダー、カットボールを繰り出す指先の繊細な感覚は料理で培った、かもしれない。「両親が共働きだったので、小さかった妹のためにチャーハンとか作っていました。味はまずまずだと思います(笑い)」。青のりだけではなく、優しさという隠し味でマウンドとともに、妹も守ってきた。

 モチモチした麺のように、小さな体はコシが効いている。今夏の広島県大会ではダルビッシュが絶賛した瀬戸内の山岡泰輔投手と0-0の延長15回引き分け再試合、翌日も1失点完投と24イニングを投げ抜いた。「何日連続で投げてもケガをしたことがない。24イニング投げても大丈夫だった。小3から投手をやって、自分の場所だと思っている。投げるのが当たり前だし、日課」と堂々と言った。母奈々さん(37)は、野球を始めたころから足のケガを避けるために夏場でもサンダルを履かせず、肘を守るために長袖を着させた。田口家の愛情も丈夫な肉体を育んだ。

 「内海さんのように誰からも信頼される投手になりたい。伝統あるチームに飛び込んでV9を超せるように貢献したい」。日本国民が愛するソウルフード、焼きそばのような信頼を勝ち取り、原監督に実食してもらう。【広重竜太郎】

 ◆広島と焼きそば

 戦後間もないころから、現在の新天地公園を中心とした屋台で鉄板焼きを食する文化が発達。お好み焼き、焼きそばを中心とした「鉄板文化」として広島市民に定着した。09年には広島県商工会連合会が「広島焼そば鉄板プロジェクト」を立ち上げ、焼きそばをお好み焼きと並ぶ広島の看板にするべく、運動を続けている。同プロジェクトでは、広島焼そばの定義は尾道市が発祥とされる「いか天(または、いか天かす)」を使用したものを指す。広島に本社のある、おたふくソースを利用した焼きそばは、味が濃厚となり非常に美味。