“華麗なる一族”から、プロ野球選手が誕生した。巨人のドラフト4位、日大山形・奥村展征(のぶゆき)内野手(18)が21日、山形市内のホテルで仮契約を結んだ。契約金4000万、年俸540万円(金額は推定)で背番号は91に決まった。プリンスホテル時代に元ヤクルト宮本慎也氏とチームメートだった父伸一さんの夢も背負った孝行息子は「野球を始めたきっかけは父の影響もあった。感謝して、父の夢も含めて挑戦していきたい」と、力強く話した。

 祖父は高校野球の監督も経験した元政治家。特殊な一家で育った奥村だが、プロ野球選手に憧れる純粋な高校球児だった。今年7月。山形で巨人対ヤクルトの公式戦が開催された。試合前日の選手の移動日に「宮本選手に会いたくて行った。2ショットの写真と握手をしてもらった」と、部活の練習後に自転車で山形駅に隣接するホテルに向かった。「父の名前を言って自己紹介をしたら『プロは甘くないぞ』と言われました」と、偉大な先輩から金言を受けた。

 会見で目標とする選手を問われると「宮本選手です」と、目をキラキラさせながら即答した。さらには「今の自分は五流。一流選手になりたい」と、きっぱり言い切った。プロ入りという1つの夢はかなえた。だが「仮契約を終えて、大好きな野球が仕事に変わると実感した。責任をもってやり通したい」と、門出を強調。担当した榑松スカウトは「リストの利いた柔らかい打撃と、闘争心、大舞台での勝負強さが特徴」と評価。憧れの舞台で夢の続きが待っている。【為田聡史】

 ◆奥村展征(おくむら・のぶゆき)1995年(平7)5月26日、滋賀県甲西町(現湖南市)生まれ。小学1年から三雲東スポーツ少年団で野球を始める。中学時代は草津リトルシニアパンサーズに所属。日大山形では1年春からレギュラーで、今夏の甲子園では主将として県勢初の4強入り。177センチ、72キロ。右投げ左打ち。家族は両親、姉、妹、弟、祖父母。