2014年プロ野球ドラフト会議は10月23日に東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われる。今回の見どころを日刊スポーツ・メディア戦略本部の福田豊が紹介する。<3:気になる選手>

 上位指名は微妙だが注目している選手が2人いる。中大・島袋洋奨投手と京大・田中英祐投手だ。

 島袋は興南で春夏甲子園を連覇。中大進学後も1年春からリーグ戦デビューするなど4年後の1位指名へ順調なスタートを切ったかに見えた。ところが最終学年の今年に入って絶不調。フォームを崩したことからか深刻な制球難に陥ってしまった。精神的な部分も大きいとは思うが、捕手のはるか上や打者の背中の後ろを通過する完全なボール球が目立つ。春は6試合に登板(先発1試合)し0勝2敗。14回2/3を投げ17四死球。ただ秋になり復調の気配を見せている。16日の青学大戦で今秋初先発。6回4失点で1年ぶりの白星を挙げた。人気、話題性とも十分なトルネード左腕。150キロ近いスピードを失ったわけではない。高校時代の活躍をプロの舞台でもう一度見たいと期待しているファンは多い。

 田中は京大史上初のプロ野球選手を目指して指名を待つ。直球の最速は149キロ。鋭いスライダーも武器の右腕だ。楽天則本のような力投タイプで投げっぷりがいい。京大という話題性を抜きにしてもドラフト候補と言える素材だけに、指名は確実。この秋、故障や不調で最終シーズンを迎えた投手が目立つ中、しっかりとマウンドを守っている姿もいい。上位指名があるかもしれない。

 このほかにも面白い素材がいる。高松北の左腕・塹江(ほりえ)敦哉投手だ。甲子園出場経験のない無名選手だが最速は150キロ。高校生左腕で150キロの大台は滅多に出るものではない。制球にやや難があるようだが、センバツ4強の佐野日大・田嶋投手(JR東日本入り希望)より上と話すスカウトもいる。

 また甲子園組では星稜・岩下大輝投手も魅力十分。良いボールが長続きしないのが残念だが、何球かに1球、ハッとするような素晴らしいストレートが来る。大分・佐野皓大投手も将来性十分。手足長く、182センチ、68キロとまだまだ細身。それでもしなやかな腕の振りから最速146キロの速球を投げ込む。今後トレーニングを積み、努力を重ねれば素晴らしい投手になる可能性がある。

 野手では横浜隼人・宗佑磨、近江・植田海の両遊撃手。2人とも俊足、強肩で身体能力が高い。打撃も非凡で守備のうまさは天性のもの。将来の1、2番候補として指名する球団もありそうだ。

 大学生では青学大・加藤匠馬捕手と中大・福田将儀外野手。加藤は大学NO・1の強肩捕手。打力が弱いものの、速く、強く、地を這うようなスローイングは一見の価値あり。神宮のネット裏では多くの球団が加藤のプレーをビデオに収めている。打撃には目をつぶって指名する球団があるはず。また福田はスピードが武器のセンター。足だけなら1位候補の駒大・江越と同等かそれ以上。今秋は打撃も好調でスカウト陣に十分アピールできた。

 最後に指名されるかどうか分からないが、気になっている選手を4人。日本製紙石巻・伊東亮大内野手、日本橋学館大・小竹一樹内野手、桜美林大・桑田真樹外野手、桜美林大卒の川相拓也内野手だ。

 伊東は194センチ、90キロの左打者。持ち味はもちろん長打力だ。今春の東京スポニチ大会、大田スタジアムで見た特大弾が忘れられない。左投手を苦にしない柔らかさもある。主に指名打者で起用されている選手でアジア大会では日本代表にも選ばれた。

 小竹の日本橋学館大は千葉大学2部リーグ所属。182センチ、115キロの右打者だ。最近になって初めて知った選手で見たことは一度もない。遠くに飛ばす力は魅力十分だそうで、昨年のドラフトで指名を受けた西武山川、ロッテ井上のようなぽっちゃり系の大砲候補か。

 桑田は桑田真澄氏、川相は巨人川相ヘッドコーチを父に持つ。川相は巨人の入団テストを受けて最終リストに残った。あとはドラフト当日を待つのみ。桑田は指名がなければ独立リーグでのプレーを希望しているという。

 運命の日は10月23日。午後5時、ドラフト会議がスタートする。

 【メディア戦略本部・福田豊】