竜の隠し玉は元ノーヒッターのサラブレッドだ。中日が23日のドラフト会議で近藤真市投手コーチ(46)の長男で名城大主将の弘基(ひろき)外野手(4年=享栄)の指名を検討していることが12日、分かった。下位または育成枠の見込み。15年は父子鷹で強竜復活に臨む可能性が浮上した。

 弘基は高校でも一時代を築いた父にあこがれて同じ享栄に進み、外野手兼副主将を務めた。甲子園出場はかなわなかったが、名城大に進学し、レベルアップ。昨春と昨秋は愛知大学リーグで2季連続ベストナインに輝き、今春は敢闘賞を受賞した。右投げ右打ちでアベレージ型の巧打者タイプ。俊足自慢で手堅い中堅守備にも定評がある。

 中日は「身体能力が高い」と将来性が見込める技術面だけでなく、強豪大学で主将を務める人望の厚さにも注目してリストアップ。今年8月に愛知大学野球選抜の一員として、中日2軍と対戦した交流戦(ナゴヤ球場)にもスカウトを派遣するなど、マークを続けた。今オフは堂上剛と井藤を戦力外とするなど、外野補強も1つの課題。のびしろへの期待も込め、近藤ジュニアに白羽の矢を立てた。

 5球団競合で中日入りした父真市は、87年のデビュー戦(対巨人)で史上初の初登板ノーヒットノーランを達成。後世に語り継がれる強烈なインパクトを残した。肩や肘の故障で実働6年の短命に終わったが、引退後はスカウトで岩瀬仁紀らを発掘した。現在は投手コーチとして投手王国再建を託され、「みやざきフェニックス・リーグ」で若手育成に力を注いでいる。球界でも異例のコーチ&選手の父子鷹誕生はなるか。運命のドラフトまであと10日だ。

 ◆近藤弘基(こんどう・ひろき)1993年(平5)2月12日生まれ、愛知県名古屋市出身。外野手。享栄高から名城大。14年プロ志望届を提出済み。179センチ、79キロ。右投げ右打ち。

 ◆日本球界の主な親子選手

 長嶋茂雄、一茂親子が代表的で、93年に茂雄が巨人の監督に復帰したのに合わせ、一茂はヤクルトから移籍。96年までともに在籍した。野村克也の息子の克則はヤクルト、阪神、楽天で、監督を務める父のもとでプレー。中日の投手だった堂上照の息子、剛裕と直倫兄弟は父と同じ中日でプレー(剛裕は今オフ戦力外)。