ドラフト1位で早大有原を指名することを公表した阪神は、抽選で外れた場合の「外れ1位」の想定も行った。優先順位が高かったのは亜大・山崎康晃(4年=帝京)、明大・山崎福也(4年=日大三)の両投手、そして、東農大北海道の風張蓮(4年=伊保内)の大学生投手だったようだ。

 特に風張は中央球界では無名の存在だったが、大学で着実に力をつけてきた最速151キロ右腕だ。今秋のリーグ戦ではエースとして大学選手権出場切符を勝ち取った。中村GMが9月下旬、直接視察に訪れるなど阪神も高く評価してきた。「(入札)1位で消えるかもしれない」と球団幹部が語ったように、他球団の単独指名を危惧するほどだ。

 また、中村GMが「基本的にはそう(即戦力投手)だが、野手も含めてだな」と話したように、外れ1位候補には野手も含まれていることが判明した。その中で筆頭候補が早大・中村奨吾内野手(4年=天理)だ。兵庫県生まれの中村は、天理では3季連続で甲子園出場。早大でも1年春からリーグ戦に出場し、大学日本代表にも選出された。駒大・江越大賀外野手(4年=海星)、中部学院大・野間峻祥外野手(4年=村野工)らも上位候補だが、現在の主力となっている鳥谷、上本らの系譜を継ぐ中村は上位候補として熱心にマークしてきた。

 「円卓にならないとわからない。駆け引きもあるから」

 中村GMは「外れ1位」の難しさについて、こう語った。今回のドラフトは入札での競合が予想されるため、外れ1位がポイントになると言われている。和田監督の強運を信じつつ、まさかの事態に備える。会議直前まで情報収集とシミュレーションを重ねていく。