いつかマー君の「18」を背負う。楽天からドラフト1位指名された済美・安楽智大投手(3年)が24日、愛媛・松山市内の同校で指名あいさつを受けた。楽天長島、福田スカウト&ディベロップメント部副部長の2人と、山下スカウトが出席。両親を交え、入団の意思を確認した。契約金など条件提示は行われなかったが、将来的にヤンキース田中がつけた「背番号18」を目指すと意気込んだ。

 安楽は無数のフラッシュを浴びながら、はにかんだ。「18番はまだまだ早い。球団が用意してくださった番号をつけたいと思います。でもエースナンバー、18番という背番号にこだわりがないと言ったらウソになる」。契約金など具体的な提示があったわけではない。それでも指名あいさつ後の記者会見で、憧れの田中がつけた「背番号18」に思いをはせた。はっきりと欲しいとは言えないが、本音をチラリとのぞかせた。

 永久欠番も検討された、偉大な背番号をつけたい。球団側はその心意気を喜んだ。出席した福田スカウト&ディベロップメント部副部長は「ゆくゆくは18を背負う投手になってもらいたい。球団にとっても特別な背番号ですから」と期待を寄せた。現実的には10番台の空き番号12、19などが有力。しかし、これまで将来を担うであろう若手投手に、実績のある番号を背負わせてきた。過去には11年のドラフト2位釜田へ、岩隈がメジャー移籍して空き番号になった「21」をすぐに与えた。実績が伴えば田中のつけた「18」を継承させる考えがある。

 文句なしで「背番号18」を背負わせるため、球団はじっくりと育てるつもりだ。昨秋に右肘を故障。現在は完治したが、入団後は2軍で体作りをさせる可能性が高い。仙台市内で取材に応じた大久保監督は「体が伸びている時にウエートをやって、関節に負担をかけるのは良くない。うちは成長の段階に応じた育成プログラムがある。安楽の状態を見て、決めたい」と育成プランは準備されている。

 安楽はプロでの理想像を問われ、「田中将大さんのように日本で誰にも負けない投手、日本で誰も手がつけられない投手になりたい。安楽が日本で一番のピッチャーだと言ってもらえるようになるのが夢」と堂々言い切った。亡き恩師、上甲監督との「ドラフト1位でプロに入る」という約束は果たした。次は東北の地で、夢の「18番」を背負うための道を歩み始める。【島根純】