天才はじっくり育てる!

 ソフトバンクから1位指名された盛岡大付・松本裕樹(18)が24日、岩手・盛岡市内の同校で指名あいさつを受けた。訪れた小川一夫編成部長兼スカウト室長は、日本ハム大谷翔平より「センスは上回っている」と才能を絶賛。3年後の先発ローテーション入りを目指し、球団をあげ痛めた右肘の回復と体作りに努めていくと約束した。

 松本の才能を褒めて、褒めて、褒めまくった。あいさつに訪れたのは小川編成部長兼スカウト室長、永山勝スカウトチーフ、作山和英東北担当スカウトの3人。松本との約40分の会談を終えた小川部長は「非常に頭のいい選手。見た目はおとなしいけど肝が据わっている」と印象を語り「長くホークスを支える選手になってほしい」と大きな期待を込めた。

 1位指名に踏み切ったのはその素材にほれ込んだから。小川部長は、今年春の東北大会で初めて松本の投球を見た際「鳥肌が立った」という。指先の繊細な感覚、緩急の使い方、常に状況をみながら投げる冷静さ-。大投手になる雰囲気はもう十分にある。この夏に右肘靱帯(じんたい)炎症を抱えても、評価は変わらなかった。故障がなければ即戦力だったが、今はじっくり育てていく方針だ。「20勝できる。3年後には先発ローテーションに入ってほしい」と具体的なイメージを示した。

 球団側の熱心な姿勢に松本も大喜びだった。王貞治会長から「気力」とかかれた直筆色紙をもらい「とても光栄です」と笑顔。「いいイメージを受けた。やってみたいな、という気持ちが湧きました」と話した。自分への期待を感じて「チームの中心になる。絶対やらなきゃいけないと思いました」と、プロでやっていく覚悟も口にした。

 引退後、携帯電話使用が解禁されて両親に買ってもらったのはソフトバンク…ではなく「auです」と苦笑い。今までホークスの試合はテレビでもほとんど見たことはなかったが、日本シリーズも「機会があれば見たい」と興味津々だった。もともと「1年目は肘を治して体を作りたい。そういうことをのんでくれるところに行きたい」と話していた。ゆっくり育ててくれる、懐の大きいチームへ。気持ちはもう決まっている。【高場泉穂】