日本製紙石巻(宮城)の伊東亮大(りょうた)内野手(25=武蔵大)が、初出場のチームを勝利に導く。社会人野球の日本選手権は、明日11月1日に京セラドーム大阪で開幕する。伊東は楽天からドラフト7位指名を受けた。東北勢でただ1人、日本代表として9月のアジア大会(韓国)にも参加し銅メダルを獲得した左の強打者。1回戦は大会初日にニチダイ(京都)と対戦する。

 伊東は打撃練習で心地よい汗を流していた。昨年、DHで社会人ベストナインを獲得した長身194センチの左の強打者。例年ならシーズンを終えている時期だが、今年は日本製紙石巻の日本選手権初出場で11月に野球ができる。「すごくうれしいこと」とほほ笑んだ。

 23日のドラフト会議で、楽天から7位指名を受けた。7月には社会人の日本代表に初めて選ばれた。8月の強化合宿などを経てアジア大会に参加した。代表スタッフから「球に当てにいくようなスイングに見える」と指摘を受けた。「ヒットの延長がホームラン」と考えていた伊東は、それ以降「バットを強く振って、遠くへ飛ばすイメージ」を膨らませている。

 アジア大会では予選リーグのモンゴル戦に4番DHで先発し、3長打を含む4安打を放った。帰国後のオープン戦では左中間への大きな当たりが増え、流し打ちで長打を運ぶ。「手応えを感じている」と今季12本塁打のパンチ力に、新しいスイングがなじみ始めた。

 昨年の都市対抗野球は4番で8強入りに貢献した。今年は夏場から、伊藤大造監督(48)が「打線のつながりを考えて」と打順は1番で起用。最近は2番もこなす。「(伊東に)積極性が出る」と同監督はその意図を説明する。伊東も武蔵大時代に1番を経験し、違和感はない。2番でも犠打のサインはなく、中軸のスタイルは変わらない。

 楽天入団には前向き。「まだ日本選手権が残っているので、まず1勝、最終的に優勝できればいいな」と、伊東は目の前の試合に集中する。初陣を飾り、社会人王者をプロ入りの手土産にする。【久野朗】

 ◆伊東亮大(いとう・りょうた)1989年(平元)7月27日、神奈川県大和市生まれ。上和田小1年の時、大和隼球団で野球を始め投手。上和田中では横浜瀬谷ボーイズに所属。桐光学園では1年秋から一塁手。3年夏に甲子園出場し、三塁コーチ。武蔵大では3年春に首都大学リーグのベストナイン。12年に日本製紙石巻入社し3年目。194センチ、90キロ。左投げ左打ち。家族は母と兄、弟と妹。