ソフトバンクのドラフト5位指名、中大・島袋洋奨投手(22)が20日、同じ左腕だった工藤監督(51)からカーブを学ぶことを熱望した。都内ホテルで契約金4000万円、年俸800万円(金額は推定)で契約合意。興南時代に甲子園で春夏連覇したトルネード左腕は、指揮官の現役時代の決め球を習得し、1年目での1軍デビューを目指す。

 「プロの世界で長く現役を続けた監督からカーブを学びたい。工藤さんの球は浮き上がるのが印象的。その後の直球が球速以上に速く見えていた。そういう組み立てをまねできるよう、投げ方を聞いてみたい」

 プロの世界では決して大きくない176センチの体で、工藤監督は48歳まで29年間現役生活を続けた。大きな弧を描く数種類のカーブを使い分ける緩急ある投球ができたからだ。島袋も172センチと体のサイズは似ている。「僕のカーブとは軌道が全然違うし、腕の振りも直球の時と同じ。1度、打者の目線が上がるし、直球を生かすには最適だと思う」と、工藤カーブ習得に意欲を見せた。

 春季キャンプではチーム宿舎で監督の部屋を訪れ、プロ通算224勝を挙げた指揮官の話に耳を傾けるつもり。「盗めるものはどんどん盗みたい。同じ左腕として話も聞きたい」。工藤監督は宮崎秋季キャンプを訪れた13日にも左腕山田にアドバイスを送るなど、指導には積極的だ。島袋が望むカーブ伝授の可能性は十分ありそうだ。

 かつて甲子園を湧かせ、大学を経て念願のプロ入り。まずは本格的なカーブを手にし、長寿投手への道を歩む。【福岡吉央】

 ◆島袋洋奨(しまぶくろ・ようすけ)1992年(平4)10月24日、沖縄・宜野湾市生まれ。興南で2年春からエースとして4季連続で甲子園出場。3年時には沖縄勢で初めて夏の甲子園を制し、史上6校目の春夏連覇。甲子園通算11勝2敗。中大では11勝19敗。家族は両親と兄、姉。172センチ、73キロ。左投げ左打ち。