巨人ドラフト3位の三菱重工名古屋・高木勇人投手(25=三重海星)が“巨人の星”を目指す。新人8選手の入団発表が23日、東京ドームで行われた。5度の指名漏れを経験した苦労人は「しっかり練習して、しっかりいろんなものを食べて。いっぱい勝てる選手になりたいです」。栄養たっぷりの黒豆を社会人1年目から摂取し、25キロ増量に成功した“黒豆王子”らしくファンの前で誓った。

 思いこんだら試練の道を行く。顔合わせの歓迎会を終えた前日22日、午後10時過ぎだった。1周1・5キロの東京ドームの周りを6周、1人で走った。「僕は25歳で入団した。皆と同じ練習をやっても差はつかないんです。駄目やったらすぐにクビを切られてしまう。今日は練習ができなかったので、毎日走らないといけない」。地の利はない。担当スカウトにドーム1周の距離を尋ねた。「大丈夫か?」と心配されたが「走りたいので」と即答だった。

 劇画の世界を地でいく超ストイックな男は、7年間、雨の日も雪の日も毎朝のトレーニングを欠かさなかった。指名漏れの度に挫折を味わい、今年は球団に提出する調査書を書くことをためらった。だが「年齢的にもラストチャンス」と血の汗を流す努力で直球を最速153キロまで引き上げ、6度目の調査書を提出し、巨人の門にたどりついた。

 晴れのこの日も、午前6時に東京ドーム周辺で体を動かし「早くここで投げたいです」と思いをはせた。もちろん即戦力。巨人の星をつかむまで、黒豆王子がどんといく。【栗田尚樹】