ソフトバンクがドラフト2位指名した春江工・栗原陵矢捕手(18)は走れる「1番捕手」を目指す。福井市内のホテルで契約金6000万円、年俸700万円で契約合意した。

 「走れる捕手になりたい。人にないことをやりたい。1番捕手とかを、自分がやってみたい」。高校時代は主に3番を打った左の広角打者。50メートル6秒0と俊足で1試合3盗塁も記録したことがある。

 2リーグ制後、捕手としては52年荒川昇治(大洋)が109試合出場(捕手では107試合)で32盗塁した例はあるが、かなりのハードルだ。高卒1年目の来季は3軍での体力づくりが濃厚で、3軍には96年に盗塁王に輝いた村松外野守備走塁コーチがいる。栗原が春江工1年時には北信越担当スカウトだった。「僕のことを見てくれていた方ですし心強い。学んで吸収したい」と意欲的だ。

 軽いフットワークと強肩で二塁送球は1・8秒。夏の大会前に痛めた右肘も「80~90%は回復している。盗塁阻止率は5割を目指したい」と話す。今夏は甲子園に出場できなかったが、高校日本代表の主将、正捕手として活躍したリーダーシップも持ち味だ。

 日本一となった今季は細川、鶴岡、高谷といずれも30代半ばの捕手が本塁を守った。若い捕手の台頭は課題でもある。前日の練習中にティー打撃の打球が跳ね返り顔面に直撃。右唇を腫らせながらの晴れの舞台となり「持ってないですね」。174センチ、74キロと細身の栗原が俊足で新しい捕手像を作り上げる。【石橋隆雄】

 ◆栗原陵矢(くりはら・りょうや)1996年(平8)7月4日、福井市生まれ。森田小1年から森田ファイターズで軟式野球を始める。森田中では福井ボーイズに所属。春江工では1年春から捕手として出場。2年春にセンバツ出場。3年夏はU18アジア選手権代表に選ばれ、主将として準優勝に貢献。遠投100メートル。178センチ、74キロ。右投げ左打ち。

 ◆1番捕手

 近年では95年に関川浩一(阪神)が37試合で先発。関川は同年、12盗塁した。ほかに89年中尾孝義(巨人)、96年高木大成(西武)、97年川崎義文(横浜)が各1試合。ホークスでは南海時代の70年、野村克也が最終戦10月22日ロッテ戦に1番で先発マスクをかぶった。東映大杉と本塁打王を争っており打席数を増やすためだったが不発だった。