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プロ野球2008年度契約更改
球児、契約更改でメジャー移籍直訴
- 契約更改交渉後、会見でメジャー挑戦熱望を語った藤川(撮影・河南真一)
球児もメジャー熱望! 阪神藤川球児投手(27)が12日、兵庫県西宮市の球団事務所で2度目の契約更改交渉を行い、その席上でポスティングシステムによるメジャー移籍を球団に要望した。代理人の橋岡宏成弁護士(40)を同伴、条件提示は受けずに自らの気持ちを伝えた。今オフの容認は現実的に厳しく球団側は却下したが、来シーズン後のメジャー移籍を目指すことになる。ヤンキースに移籍した井川に続き、阪神は再び大きな問題を抱えることになった。
衝撃のメジャー移籍願望だった。藤川は正直な思いを南球団社長に初めて伝えた。2度目の契約更改の席上、年俸の話はせずに、1時間40分の時間すべてメジャー挑戦の希望を訴えた。
藤川「球団の方にお願いしたい気持ちがあった。実際、ここで話すことはすごく怖いんですけど、アメリカ、メジャーリーグにチャレンジしたい。一野球人として選手でいる間に何が残せるか。人生も1回しかない」。
06年のWBCに日本代表で初出場。今月には星野ジャパンで北京五輪出場をかけたアジア予選(台湾)を勝ち抜く原動力にもなった。世界中の強打者と対戦していく中で、自慢の速球がどこまで通用するか、試したい衝動を抑えられなくなった。同世代で海を渡ったレッドソックス松坂の活躍も刺激になった。
藤川「自分のストレートが投げられるうちに、どこまでのパワーをもって、世界各国から集まったバッターに対していけるのか、試してみたい」。
台湾から帰国後、眠れない日々が続いた。自らメジャー希望を口にすることによって、チームメート、ファンに与える影響の大きさも自覚している。だが気持ちを伝えないまま、来季プレーすることの方が周囲への「裏切りになる」との結論を出した。
藤川「阪神で頑張るという気持ちを持つために隠して野球はできない。来年、潰(つぶ)れるかも分からない」。
自由に移籍できるFA権を取得するのは、現行制度のままなら2012年オフ。制度改正が実現しても11年オフで31歳を迎えている。日本球界屈指の火の玉ストレートを投げられる時期にも限りがある。一刻も早く夢をかなえたいのは自然な流れだった。
すぐにチームメートに電話をかけ本音を伝えた。近日中には家族と渡米。現地の施設でトレーニングに励む。3回目以降の交渉は、井川のポスティング移籍を認めさせた代理人の橋岡弁護士に一任。メジャー移籍を年俸のつり上げに利用する気はなく、早々と越年契約も決めた。
藤川「伝えることが最大の目的。来年、何としても勝ちたいという気持ちになった。メラメラと燃え上がるような気持ち。北京(五輪)も大事だけど、タイガースの一員として巨人、中日を倒したい」。
メジャー願望はひとまず胸の奥にしまうが、メジャーの夢は続く。阪神は左腕エース井川に続き守護神の流出危機という、大きな難問を抱えた。【片山善弘】
[2007年12月13日9時23分 紙面から]
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